柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

お米はいつまでおいしい?

管理を徹底すれば、お米は(米の品質によっては)新米のときよりもおいしくなる。では、おいしく食べられるのは収穫からどのくらいまでの期間だろうか。

 

昨年夏、お米の経年変化も調べている研究熱心な農家から3年分のお米を取り寄せて検証した。自然栽培「ササシグレ」の28年産、27年産、26年産。気温が低い冬以外は13度で管理していたそうだ。

 

収穫から8ヶ月経った28年産は、さっぱりした甘い香りがあり、ツヤツヤしっとりとして滑らか。じわりと旨みと甘さが感じられる、とてもおいしいお米だ。一方で、収穫から1年8ヶ月経った27年産は、炊飯器の蓋を開けた瞬間から古米臭が。口に入れると、酸っぱさを帯びたにおいが口の中に広がり、米粒もかたい。さらに、収穫から2年8ヶ月経った26年産は、かたくて団子のような粉っぽさ。ところが、驚くことに27年産ほど古米臭がない。

 

食味値を計ってみると、収穫時に88点だった28年産は変化なし。95点だった26年産は92点に下がりつつも高数値を維持。古米臭がして硬くなっているにもかかわらず28年産よりも高い。脂肪酸量を見ると、28年と26年はほぼ同程度。食味計では人間が感じる劣化を測定できないらしい。おいしく食べられる期間は、品種や経年数に関係なくその年の米の品質と言えそうだ。

 

ちなみに、検証で余った古米は炒飯に。米粒がぱらぱらとした仕上がりでおいしい。古米は鮨のシャリだけなく、「炒飯米」としても売り込めると思っている。

日本農業新聞コラム「柏木智帆のライフワークはライスワーク」)