柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

ブレンド米を“遊ぶ”

ブレンド米」というと、多くの人が高値のお米に安いお米を混ぜた“偽装米”を連想しがち。一方で、同じブレンドでもブレンドコーヒーや合わせ味噌は定番商品。ワインだって異なるぶどうの品種を掛け合わせたものがあり、ウイスキーだって異なる原料を掛け合わせたものがある。

 

ただ、最近ではブレンド米が少しずつ再注目されている。

 

米屋ではオリジナルのブレンド米を販売しているほか、飲食店から「うちの料理に合うブレンドを」という注文が増えているそうだ。

 

京都の米屋「八代目儀兵衛」では、和食に合う米、炒飯に合うお米など、用途に合わせた12種のブレンド米「十二単」を販売。他の店でも「おむすびブレンド」「お茶漬けブレンド」「卵かけごはんブレンド」などが展開されているが、たとえば、食欲がわかない朝や猛暑の季節にあっさり軽い「朝ごはんブレンド」「夏ブレンド」、脂が乗った冬の魚に合う「冬ブレンド」など、季節や体調に合わせたブレンド米があってもいい。

 

農家では、福島県「つちや農園」が、磐梯山のふもとで育てた3品種をブレンドした「バンダイ・マウンテン・ブレンド」を販売。お米そのものもおいしいけど、磐梯山の風景が目に浮かぶというおいしさもある。

 

「おいしい」には、味だけでなく、食べる環境やイメージなども含まれる。たとえば、「あのとき食べたあの味」を再現したブレンドがあってもいい。単一品種のおいしさもあるが、お米を“遊んで”みると意外な魅力を引き出せる。

日本農業新聞コラム「柏木智帆のライフワークはライスワーク」)