柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

イスラム文化から世界のお米へ

今年は日本のお米の他に、スペインとタイのお米も取材した。

 

2年前にヨルダンで糸のような長粒米に出会い、トルコの日本料理店で鮨シャリの食べ比べをしたり野菜としてお米が使われている料理に出会ったりしてから、異文化のお米取材のおもしろさに目覚めた。

 

そもそも、ヨルダンに行くきっかけはイスラム文化に興味があったからであり、海外のお米文化を取材しようとは思っていなかった。私の目標は日本においての米食文化の再興とお米の消費アップ。そのためのお米の魅力とポテンシャルの発掘。海外のお米を取材するよりも、日本のお米を取材したほうがいいじゃないかと思っていた。

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イスタンブールのブルーモスク

ところが、それは違った。

 

たとえば、自分がつくったお米だけを食べて「おれの米が一番うまいんだ」と言っていてはもったいない。私も日本のお米だけを食べて「日本米サイコー」と言っていても説得力がない。実際に世界を見ると、お米は品種も食べ方も価値観も本当に多様で、日本のお米はほんの一部にしか過ぎないのだと気づく。海外の米食文化を知ったうえで、外からの目で日本を見ると、これまで気づかなかった日本の米食文化の独自性や魅力を発見することができ、日本の米消費アップのヒントを見つけることができる。この取材はできるだけ続けたいと思った。

 

そして、1年前はベトナムと台湾。今年はスペインとタイを取材した。スペインは新婚旅行をくっつけて、米農家の夫と2人でスペイン人農家に田んぼを案内してもらったり、レストランをまわってパエリアを食べまくったり、市場やスーパーのお米売り場をまわったり、レストランで「生米を見せてください」とお願いしたり、米粒をナイフで切って断面を見たり。つきあってくれた夫に大感謝(イタリア米も育てるような夫なのでとても楽しんでいたけど)。

 

イスラム文化がお米の多様性を知るきっかけをくれたと思うとおもしろい。いろいろなものに興味が向いても、結局お米につながっている。来年もあれこれいろいろなものを見てみたい。