柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

つわりの効能

以前にある地域に住んでいたとき、水道水がものすごくおいしくなかった。

 

地下水だったので心配になって簡易的な水質検査のキットを買って測ってみると、飲料可能ではあった。でも、水を飲むと、「おええ」となってしまう。

 

水が苦手になり、そのうちなぜか市販のミネラルウォーターを飲んだときにも、その水道水の味を思い出してしまい、ミネラルウォーターも飲めなくなった。

 

そのときに、水の代わりに飲むようになったのが、炭酸水。「南アルプスの水スパークリング」や、「ウィルキンソン」などを愛飲するようになった。その後、引っ越してしばらく経つと水やミネラルウォーターが飲めるようになったけど、あいかわらず炭酸水を飲んでいたし、炭酸水のほうがおいしいと思っていた。

 

ところが、妊娠して食べられるもの食べられないものがころころと変わっていく中で、炭酸水が苦手になっていた。先日、ウィルキンソンの炭酸水を飲んだら、ものすごく苦くて飲めなかった。今までよく飲んでいたなあと驚くほど苦く感じる。人の味覚とは不思議なものだ。

 

でも、結果的に炭酸を飲んだときのシュワッとした刺激を受けることもなく、穏やかに水分摂取ができるようになった。

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ガス入りでない水がやたらとおいしい

最近ごはんに巻いてよく食べている海苔も、食べられる海苔と食べられない海苔が出てきた。以前は好きだった「こんとび(青のりが混じった海苔)」は、今はもう独特の香りが苦手で食べられない。以前は海苔にそこまでお金をかけるほうではなく、「全形1枚で◯円…高いな…」というふうに選んでいたけど、最近はおいしい海苔を食べたい一心で多少高くても良い海苔を選ぶようになった。

 

でも、よくよく考えると、毎日晩酌していた日本酒代が一切なくなったのだから、そのぶんを海苔に回しても、おつりが返ってくる。外食をしたりお菓子を食べたりすることを考えると、海苔全形1枚200円だとしても安いもんだ。

 

味覚が変わったことで、再び普通の水がおいしいと思うようになり、食べものに対する価値の置き方も変わった。つわりも悪いことばかりではない。