柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

マイコンをなめていた

同じお米であっても炊きあがりは使う炊飯器によって変わる。

 

「おいしい」炊け上がりの炊飯器の「おいしい」は各メーカーが目指す「おいしい」になるため、やわらかめに炊ける炊飯器もあれば、硬めに炊ける炊飯器もある。

 

5万円、10万円以上のIH炊飯器や圧力IH炊飯器などが登場する中、マイコンは安さ重視の炊飯器という位置づけになっている。

 

しかし、夫のマイコン炊飯器がすごい。夫が20歳のころに東京で一人暮らしをしているとき、秋葉原のラオックスで友だちのコテ君と一緒に買ったTOSHIBA製。夫はもうすぐ35歳。15年愛用し続けた炊飯器は見るからに歳月を感じる。

f:id:chihoism0:20190415161944j:plain

夫が15年前に購入してから愛用してきたマイコン炊飯器

当初、私はマイコンをなめていた。

夫と結婚してから炊飯比較実験をするためにTIGERの安くも高くもないIH炊飯器を2つ同型で揃えたので、炊飯器でごはんを炊くときはTIGERを使っていた。夫のマイコンは夫が好きな玄米を炊くときや、炊き込みごはんなど炊飯器ににおいがついてしまいそうな炊飯のときに使っていた。

 

ところが先日、やたらと疲れていた私は、なぜかうっかり夫のマイコンで夕食のごはんを炊いた。すると、絶妙な炊き加減でおいしい。

 

メーカーの癖でお米の味が変わってしまわないように、炊飯器で炊く時はいつも冷蔵庫でじっくり浸水したお米を早炊きモードで炊いているのだけど、2年ほど前に買ったIH炊飯器の早炊きよりも、15年前に買ったマイコン炊飯器の早炊きのほうがおいしいとは驚いた(われわれ夫婦の好みでは)。

 

一方で、高級炊飯器や最新炊飯器で炊いたごはんを食べて「おいしい!」という体験をしてみたいけど、まだできていない。以前にイベントで最新高級炊飯器で炊いたごはんを食べたけど、あんまり…だった。自分で買えばいいじゃないか!と言われそうだけど、炊飯器の中で何が起こっているのか見えない炊飯器はおもしろくないので、5万円も10万円も払って買う気にはなれない。

 

ちなみに、夫によると、このマイコン炊飯器は「愛情によっておいしく炊けるように変化した」らしい。そんなわけあるかいっと思っていたけど、夫が東京の風呂なしアパートに住んでいた時代から、故郷に帰ってもずっと春夏秋冬このマイコン炊飯器でごはんを炊き続けて生活を共にしてきたんだなあと思うと、もしかしたら本当に夫が言うようなこともあったりするのかもしれない…