柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

のりべん考

以前に「栗ごはん考」でも書いたように、炊き込みごはんに合わせるおかずは難しい。

 

ようやく最近になって何をおかずにすればいいか分かってきた。

 

わが家では、おかずと一緒に食べる前提で薄味の炊き込みごはんを作る。とは言え、白飯がほしくなるようなおかずを作ってしまうと、炊き込みごはんを食べながら白飯がほしくなってしまう。

 

そこで考えたのは、「おかずになるけど、激しく白飯を欲さないおかず」。

 

たとえば、煮浸し、高野豆腐の煮物、胡麻和え。

小松菜と人参と油揚げの煮浸しは薄味に。

かぶりつくと汁がじゅわっと出てくる高野豆腐の煮物は優しい味付けに。

いんげんの胡麻和えは味付けがしっかりしていても、白飯を激しく欲するかというと、そうでもない。炊き込みごはんでも、まあいいか、と思える。

 

炊き込みごはんと同様に、海苔弁のおかずも難しい。

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おかずがむずかしい海苔弁

市販の海苔弁は、焼いた塩ジャケ、ちくわの磯辺揚げなどが入っているものが多いけど、どうも好きになれない。

ちくわの磯辺揚げや白身魚のフライなどの揚げ物系は、海苔弁にとって白飯の次に重要とも言える海苔が油でギトギトになってしまう。

焼いた塩ジャケはどうしても白飯が欲しくなってしまう。せっかく海苔弁を食べているのに、ああ白飯が欲しいなあと思ってしまうことはとても残念だ。

 

極論を言えば、海苔弁はおかずなしでもいい。でも、やはりおかずがちょっとあったらうれしい。

 

そこで、海苔弁の場合の「おかずになるけど、激しく白飯を欲さないおかず」は何だろうと考えた。弁当なので汁気がないものがいい。

 

たどり着いたのは、きんぴらごぼうと玉子焼き。

きんぴらごぼうは、白飯が欲しくはなるけど、海苔弁の白飯と海苔の間に挟まっているおかか醤油と味の方向性が似ているので、海苔弁となじむ。

玉子焼きは胡麻和えと同様に白飯を激しく欲するものではない。出し巻き玉子に大根おろしと醤油という食べ方であれば白飯というか日本酒が欲しくなるけど、玉子焼きは海苔弁の口直し的な存在だと感じる。

 

ごはんについて言えば、白飯が少なめでおかかと海苔とともに薄い層になっている海苔弁は、ごはん全体がのっぺりとしていて悲しい。やはり海苔弁はたっぷりの白飯がふんわりと厚い層になっているものがいい。

 

そして、海苔がちょっとよれていたり、玉子焼きが崩れたりしていたりしても、それがまたおいしそうに見えるのが海苔弁。お母ちゃんが忙しい朝にバタバタと豪快に作ったような海苔弁は最高の海苔弁だと思う。