柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

ごはんが詰まったいなりずし

先日、夫とムスメと一緒に成田山新勝寺の参道にある団子屋に入った。

 

そこで食べたいなりずしが絶品だった。酢飯といなりの味付けのバランスが絶妙。「ごはんがパンパンに詰まっていたらもっと良かったなあ」とつぶやいたら、「母ちゃんのいなりずしはごはんがパンパンだった」と夫が教えてくれた。 

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成田山新勝寺参道にある「後藤だんご屋」のいなりずし


夫によると、お母ちゃんのいなりずしはいなりが閉じられないほどごはんを詰めるため、口が開いたままらしい。

 

いなりずしにはオープンタイプもあって、開いた口の部分に具材がのっているものもある。ああオープンタイプかと思ったが、どうやら違うらしい。

 

お母ちゃんのいなりずしはごはんを詰めるだけ詰めたら、開いたままの口を下に向けるそうだ。きっと皿の上には大きな四角いいなりずしがでーんと並ぶのだろう。ステキ。

 

夫のお母ちゃんの料理はお母ちゃん本人も夫も「テキトー」と言うが、私は大好きだ。特に汁餅(大根と油揚げの澄まし汁に餅)、大根炒り(大根と油揚げの炒め煮)、チヂミ(ニラ入り)がおいしい。茹でただけのブロッコリーが食卓に並んでいるのも何だかほっとする。

 

ちなみに夫が高校生の頃、弁当を開くと茶色いおかずの隣に生の人参が入っていたそうだ。大きめの角切り人参がひとつ。帰宅して「あれ何?」と聞くと、お母ちゃんは「赤が欲しかったから」と答えたらしい。家庭の料理は難しく考えずにこれくらいのテキトーさが心地いい。