おむすびを買いに郡山市「たけや」を再訪したが、13時過ぎでほぼ完売。目当てのおむすびが買えず残念だったけど、大豆のような豆が混ざったおむすびを発見した。2月だから節分にちなんで豆ごはんだなと踏んだが、違った。
「白ふかしです」と店員の女性は教えてくれた。「白ふかしって何ですか?」と尋ねると、「仏用の赤飯です」と教えてくれた。
夫はどういうわけか、葬式まんじゅうや「黒飯」など葬式だけでしか食べられないものが好きらしい。私もどういうわけか、赤飯よりも黒飯が好きだ。ちなみに黒飯とは小豆やささげを糯米と一緒に蒸した米料理。赤飯と違って豆の煮汁を使わないのでごはん粒が赤く染まらない(過去に書いた「葬式まんじゅうと黒飯」)。
たけやに白ふかしがあったということはどこかで不幸があったからかもしれず、喜んでいいのか分からないけど、〝仏事飯〟が好きなわれわれ夫婦は喜んで白ふかしを買った。
食べてみると、しっとり軟らかい糯米のおこわにほくほくと粉質の白いんげん豆が混ざっている。米粒がうっすらと黄色味がかっているのは白いんげん豆の煮汁なのかもしれないけど、豆感が強いわけでもなく、非常に素朴な味わい。おむすびの側面には白ゴマがパラパラとかけられている。
私が住んでいる町では仏事で黒飯を食べるが、隣接する地域でまったく違う仏事飯があることに驚いた。ヨメに来る前は黒飯の存在すら知らなかった。
ちなみに、赤飯は黒ゴマのゴマ塩だけど、白ぶかしは白ゴマらしい。黒飯は何ゴマをかけたかなあと思って調べてみたら、そもそも小豆やささげではなく黒豆を使った黒飯もあるらしく、その黒飯には紅生姜を添える場合もあるそうで驚いた。
最近はコンビニやスーパーが季節行事ごとに行事にちなんだ商品を売り出すこともあり、華やかな場の料理は作られ食べられ認知されやすいように思うけど、仏事に食べられる料理は仕出しのオードブルや寿司などに追いやられ、また、仏事飯を仏事以外の時に食べるのは縁起が悪いように感じられるのか、なかなか作られたり食べられたりする機会が少ない。
そして、赤飯は祝い事に関係なく販売しているおむすび屋や惣菜屋があるように、また、デパ地下のケーキは誰かの誕生日でなくても売れるように、華やかな場の料理は意外と日常になじんでいる。
日本各地の仏事飯(お米料理)を調べてみたら地域性が見えて、きっとおもしろいに違いない(と言ったら不謹慎だろうか)。