柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

窒素ガス充填米のおいしさはいつまで?

窒素ガス充填しているので精米日から6ヶ月以内はおいしく食べられる…とパッケージに書かれたお米を昨年9月にスーパーで購入しておいた。

 

そして、6ヶ月経過まであと少しになったのでついに2月15日に食べてみた。

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ふけていた(※)。生米の状態からすでに香りにふけ感があったので、念入りに研いだ。それでもやはりふけていた。炊き上がりは古米臭がして、ツヤはない。しゃもじがサクサク入り、ほぼ粘りがない。

(※「ふける」=劣化している)

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でも念入りに研いだおかげか、ふけているけど、精米日6ヶ月経過にしては“ふけ度合い”がそこまでひどくはない。窒素ガスが充填されていなかったらもっとひどかったかも。それでも白飯で食べるのはちょっとつらい。

 

窒素ガス充填は6ヶ月もたないけど、もしかしたら経過期間がもう少し短ければ「おいしく食べられる」のかもしれない。

 

翌日、同じスーパーで同じ商品が売っていて、精米年月日から1ヶ月経過していた。早速買って試してみた。

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まったくふけていなかった。常温なのにすごい。

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窒素ガス充填した場合は何ヶ月後からふけるのか気になる。いろいろ検索してみると、窒素ガス充填したお米の商品説明を見つけた。そこにはこう書かれていた。

 

「精米したての風味が保てるのは約3ヶ月。そこから徐々に風味は落ちていくのですが、6ヶ月くらいはおいしく召し上がれます」

 

「風味は落ちる」のに「おいしく召し上がることができる」のはなぜなのか。風味が落ちるのであればパッケージには「精米日から3ヶ月以内はおいしく食べられる」と表記すべきだろう。

 

お米の劣化速度は「保存環境+米質」によって変わる。つまり、その年によって劣化速度は変わる。また、精米前の玄米での保管状態、収穫から経過した日数なども劣化速度に関係してくる。そして、スーパーなど販売店舗では夜間は冷暖房を切る。そう考えると、夜間に気温が下がらない地域や年は劣化しやすい環境だと言えそうだ。

 

ただ、窒素ガス充填したお米がどれほど室温(気温)の影響を受けるのか分からない。同じお米で窒素ガス充填したものとしないものを比べることができればいいけど、窒素ガス充填機を持っていない。

 

いずれにしてもお米の劣化速度は保存環境と米質によって違うことを思うと、日本のお米のパッケージに消味期限ではなく精米年月日が記載されている所以がよく分かる。

 

窒素ガス充填された1月15日精米のお米は本当に「3ヶ月は精米したての風味が保たれる」のかどうか。4月上旬に炊飯してみるつもりだ。

実験はゆるやかに続く。