柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

ごはんの長時間保温禁止運動

先日、ある飲食店で定食を頼んだら、ごはんが黄色かった。

 

そして保温臭がしてごはん粒がダマになっていた。厨房を覗くと大きな保温ジャーからごはんをよそっていた。昼の開店時間に入店したのにこのごはんの状態ということは、おそらく昨日炊いたごはんではないだろうか。昨日炊いたごはんでないならば、今日の早朝に炊いたごはんかもしれない。いずれにしても長時間保温による劣化であることは間違いないように思う。「いつ炊いたごはんでしょうか?」と質問したかったが、感じが悪いのでやめておいた。

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食べ進めるのがあまりにもつらいので、「私はいま海外の日本食レストランにいる」と思うことにした。トルコの日本食レストランで食べたトルコ産短粒米の鯖の塩焼き定食もこんな感じの食感だった。ベトナム日本食レストランで食べたベトナム産日本米の鯖の塩焼き定食もこんな感じでさらにぐちゃりとしていた(同じ米を使った別の店は意外においしかったので炊き方や保温時間は重要すぎる)。タイの日本食レストランで食べたタイ産日本米もこんな感じだった。

「おいしい店」と聞いて食事に行き、たしかにおかずはおいしいがお米はおいしくないというパターンに出会うと、お米が添え物の立ち位置に思われているようで悲しくなる。

 

以前に鯖の味噌煮がおいしいと評判の店に行ったら、ごはんが今回と同様に変色してダマになっていた。昨日炊いたのかな…と思えた。その店の壁には「ごはんを残したら罰金」という内容の張り紙があり、たしかにごはんを残すことは良くないけど、ならば保温劣化したごはんを出すのはどうなんだろう。

 

先日、テレビ東京たけしのニッポンのミカタ!」という番組に出演させていただいた時、お米好きで知られるビートたけしさんが「店で料理がうまくてもごはんがまずいとガッカリする。料理がいまいちでもごはんがおいしいと満足」というようなことをおっしゃっていて、心の中で激しく同意した。

 

お米の消費拡大のためにはお米がおいしいことが重要だと改めて感じる。そのためには、まとめ炊きしての長時間保温はぜひやめてもらいたい。保温劣化したごはんはつらい。ごはんの長時間保温禁止運動を展開したいとマジメに思っている。