柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

春のごはん祭り

3月に川べりでふきのとうを摘んで「ふきみそ」を作り、5月にご近所から葉わさびをいただいて「葉わさびの醤油漬け」を作り、スーパーで木の芽を買って「木の芽の佃煮」を作り、お世話になっている料理人から行者にんにくをいただいて「行者にんにく味噌」を作った。すばらしいごはんのおともの数々。

 

そして、4月におばさまからたけのこをいただいて「たけのこごはん」を作り、5月に山であぶらっぽ(こしあぶら)を採って「あぶらっぽ(こしあぶら)ごはん」を作り、スーパーでうこぎを買って「うこぎごはん」を作り、山でたらのめを採って「たらのめごはん」を作った。すばらしい炊き込みごはんや混ぜごはんの数々。

 

春ほどすばらしいごはんのおともやごはんの楽しみ方が充実する季節があるだろうか。秋も栗ごはんや松茸ごはんやきのこごはんなどなかなかやるが、個人的な嗜好で言えばやはり春には勝てないように思う。

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とは言え、秋は新米。一方で春はお米が劣化し始めやすい季節。もちろんお米の質によって違うけど、やはり季節の移ろいとともに味は落ちがちだ。

 

ごはんがおいしくなければせっかくのごはんのおともの威力が発揮されないし、炊き込みごはんや混ぜごはんも同様だと思っていた。まずはおいしいごはんがあってこそ。

 

しかし、現実的には春は味が劣化し始めるお米が多発する季節でもある。

 

ところが、春のごはんのおともや混ぜごはんの具は香りが強いので、わずかな古米臭であればマスキングできる。山菜の芳香の強さはまさかこのためでは…とさえ思う(違うと思うけど)。

 

ちなみに炊き込みごはんは調味料を一緒に炊き込むので、具の芳香に関係なく古米臭をマスキングしやすい万能ごはんだ(しかも劣化し始めて粘りが薄くなるので具によってはごはんと混ざりやすく、米離れが良く好みだと言う人もいそう)。

 

できれば劣化していないお米でごはんのおともや混ぜごはんや炊き込みごはんを楽しみたいが、玄米低温保管であっても季節の移ろいとともに実際に劣化してしまったお米をどう楽しむかという知恵も必要だ。できれば劣化したいないお米を食べたいけど。

 

「春のパン祭り」に対抗して、「春のごはん祭り」を開きたい。