もうすぐ土曜丑の日。タレが甘いうな重は苦手だけど、タレが甘すぎないうな重は好きだ。
妊娠初期に妊婦が控えるべき食べものを調べると、「うなぎ」も含まれていたので、うなぎ断ちをした。
「産後はうなぎ屋に行きたい!」と言っていたが、娘がまもなく2歳になるというのにうなぎ屋にはいまだに行けていない。
その理由は、動き回って叫びまくる娘を連れてうなぎ屋に行っても落ち着いて食べられるはずがないから。夫と一緒ならどうにかなるかもしれないが、夫はベジタリアンなので、うなぎ屋に行っても夫が食べられるものがない。
夫と一緒にうなぎを食べる機会は後にも先にもないだろう。しかしながら、先日、初めて夫と一緒にうなぎ弁当を楽しむことができた。
正確には「お豆腐のうなぎ蒲焼き風弁当」。
料理家・わらがやしほさんがすべて福島県の食材で作ったお弁当で、お豆腐と海苔を使ったうなぎそっくりの蒲焼きがごはんの上にのっている。
食べてみると、食感もふわふわとしていてうなぎのよう。台湾の素食や北鎌倉の精進料理で豆腐を使ったそぼろを食べたことはあったけど、豆腐がうなぎに変身するとは驚いた。
以前にうなぎの代わりに茄子で蒲焼きを作ったことはあったけど、それは単に茄子の照り焼きだった。しかし、このお弁当の豆腐の蒲焼きはうなぎを食べているときのような満足感がありながらも、後味がさっぱりとしていた。口内や胃がなんとも心地よい。
私が食に求めているものの一つは「後味の良さ」なのだと改めて感じる。
和食が好きなのも、食べている時の優しい味わいやホッとする感覚だけでなく、食べた後の心地よさも大きなウエイトを占めている。
生ねぎ、にんにく、生たまねぎが苦手なのも、食べた後に口の中がそのにおいで占領されてしまうためだ。
動物性では魚と卵しか食べられないが、魚で言えばトロが大の苦手。食べている時の脂感が好きではないことに加え、これも食べた後の口の中がスッキリしないことや、脂で胸焼け気味になることなどが理由だ。
食事は味や食感だけでなく「食べ心地」「後味の良さ」が重要だと再認識するおいしいお弁当だった。
わらがやしほ