柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

お弁当の揚げ物とレタス

お弁当に入ったフルーツやプチトマトが好きではないと「おべんとうばこのうた・その4」に書いたが、もっと言うとお弁当に入った揚げ物も苦手だ。

揚げ物はサクサク感もおいしさの一つだと思うので、お弁当の中で時間経過とともに油を吸ってふにゃりとした衣は残念ながら食指が動かない。

夫にそう話すと、同意しつつも「春巻きとコロッケだけはふにゃりとしていてもいい」と言っていた。天ぷらも具材によってはふにゃりが容認できるものもあるそうだ。

「母ちゃんが揚げ物が下手で子どもの頃はサクサクの春巻きとコロッケを食べたことがなかったから」と夫。

そういうわけで、お母ちゃんが作らなかった揚げ物にはサクサク感を求めるのだという。食の嗜好に「食べ慣れ」は大きく影響すると改めて感じる。

ずいぶん前に弁当屋で塩サバ弁当を買ったところ、塩サバが揚げてあったことがあり驚いたというか憤った。本来は焼くべき塩サバを揚げるとは、塩サバに失礼だとさえ思った。ちなみに台湾で食べた魚の弁当はどれもこれも揚げてあり、焼き鮭や焼き鯖が入った日本のお弁当の素晴らしさを改めて思った(とは言え、郷に入っては郷に従うので台湾で食べる台湾のお弁当は胃もたれするけどおいしい)。

先日食べたお弁当には素揚げの野菜が入っていた。衣がついた揚げ物は油が多く、素揚げのほうが油が少ないと思っていたが、素揚げの野菜は油ギトギトでかなりヘビーだった。

衣がついていると油は衣に吸われつつも衣や食材の水分によって油感が緩和されていたのかもしれない。ふにゃりとした衣は好きではないが、唇がテカテカになるような油のギトギト感はなかった。

しかし、素揚げは油の行き場所がなく、食材の表面にとどまっているためか、食べると一気に口の中が油でギトギトになる。

やはり魚だろうと野菜だろうと揚げ物は揚げたてで食べたい。お弁当の揚げ物は苦手で、素揚げはもっと苦手だと気づいた。

ついでに言うと、お弁当に入った生野菜も苦手だ。シナシナヨレヨレの生ぬるいレタスがどうしても好きになれないし、揚げ物の下にレタスが敷いてあると、残念のオンパレードになる。

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レタスは揚げ物がのった部分が油でギトギトヨレヨレになる

お弁当にはお弁当だからこそおいしいおかずがあると思う。

とは言え、夫のコロッケや春巻きのように、「ふにゃふにゃ衣のエビフライが好き」「揚げ物の下に敷いて衣の油がしみたレタスが最高にうまい」という人もいるかもしれない。

個人的な嗜好で言えば、やはりきんぴらごぼうや玉子焼きなど冷えてもおいしいおかずがお弁当には合うと思うけど、揚げ物が入ったお弁当が多いことを思うと私の嗜好はマイノリティなのかもしれない。