柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

お弁当の焼き魚とナポリタン

「お弁当の揚げ物とレタス」で「お弁当に入っているふにゃふにゃの衣の揚げ物が苦手」と書いた。揚げ物は衣がサクサクの状態で食べたい。

しかし、よく考えると焼き魚はなぜお弁当に入っていて嬉しいのだろうか。実家や飲食店では魚は焼きたてが好きで、ほんの少し焦げ目がついた皮がパリパリとして脂がジュージューしている魚の身をほぐし、醤油をたらした大根おろしと一緒に食べる瞬間がたまらない。しかし、お弁当に入っている冷えた焼き魚の切り身も「これはこれでおいしい」と思っている。とは言え、実家や飲食店で冷えた焼き魚が出てくるとガッカリしてしまう。

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これは冷えた焼き魚を弁当で食べる経験の多さが影響しているのだろうか。冷えた揚げ物を弁当で食べる機会が多い人は衣がふにゃりとした冷えた揚げ物も「これはこれでおいしい」と思っているのかもしれない。

そういえば、「お弁当の冷えたナポリタンがおいしい」と言っている人もいた。おそらく冷えたナポリタンが白ごはんのおかずとして家庭の食卓や飲食店で皿にどーんと盛られてもそこまで嬉しくはないだろう。これはお弁当の隅にちょんと入っているからこそ喜ばれている気がする。

「これはこれでおいしい」という言葉は、相対評価ではなく絶対評価であり、愛があるなあと感じる。