柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

おかあちゃんの味ぶかし

福島県では「おこわ」のことを「おふかし」と言い、五目おこわ的なものを「味ぶかし」と呼ぶ。
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先日、おかあちゃん(義母)に味ぶかしについて質問しに行った。聞けば聞くほどおいしそうだけど、最近は作っていないと言っていた。たしかにおかあちゃんの味ぶかしを見たことがない。いつかおかあちゃんの味ぶかしを食べてみたいなあと思っていた。

そしたら昨日、おかあちゃんが味ぶかしを作ってくれた。朝5時過ぎに仕事に出たはずの夫が朝7時にドタバタと帰ってきて、味ぶかしのおむすび1個を私に渡して、また仕事に出て行った。おかあちゃんが作っていたのを見つけて、これは届けてやらねばと思ったらしい。

かあちゃんの味ぶかしはおいしかった。味ぶかしそのものもおいしかったけど、おかあちゃんが私と話した後に味ぶかしを作ってくれたことと、私が味ぶかしを調べていることを知っている夫がわざわざ味ぶかしを届けに帰ってきてくれたことが嬉しくて、おいしさが二重に上乗せされた。

夫によると、おかあちゃんはおそらく私のために作ったのではなく、私と話していたら自分が食べたくなったから作ったんだろうとのことだけと、そういうところがおかあちゃんらしくて良いなあと思う。

以前は糯米よりもうるち米が好きだったけど、福島県に住み始めてから、いつのまにか「味ぶかし」「黒飯」「白ぶかし」など、おふかしも好きになっている。食の習慣や慣習が食の嗜好や文化を作っていくんだろうなあとぼんやり実感している。