柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

お米の粘りと油の関係性

先日バスマティライスの食べ比べ後、夫と2歳の娘と一緒にバスマティライスでランチをした。

おかずに豆カレーと野菜カレーを作ったのだけど、豆カレーのほうは小さな娘も食べられるように油を少量に抑えてチリパウダーを使わなかった。

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すると、バスマティライスと豆カレーを食べていた娘がゲホッと口から出した。うまく飲み込めなかったらしい。

しかし、念のため炊いておいた日本米をよそってあげると、ごはんと豆カレーをパクパク食べていた。

娘の反応をみていると、お米の粘りと油分の関係性が非常に分かりやすい。

バスマティライスのような粘りの少ないお米(高アミロース米)、かつ、おねば(保水膜)が少ないお米を食べるときは、おかずに油分や水分がないと飲み込みづらい。だからこそ、東南アジアや中東では油の多い料理や汁気の多い料理と一緒にごはんを食べたり、そもそも油分を使ってごはんを調理したりするのだと思う。

私と夫も油の少ない豆カレーとバスマティライスの組み合わせは食べづらかった。飲み込みづらいためか、よく噛むのですぐにお腹がいっぱいになった。油たっぷりのビリヤニやポラオや炒飯などが軽やかにたくさん食べられる理由を実感した。そして、パサパサとして口の中の水分が取られるような感覚のバスマティライスと同様に、水分の少ないパンにバターやオリーブオイルなどの油分が合う理由を実感した。

一方で、日本米のように粘りのあるお米を使う場合、油たっぷりの料理と合わせたり、油たっぷりの炒飯を作ったりすると、好みや組み合わせや調理法にもよるが、重たくなりやすい。一方で、粘りのあるお米と油の少ない料理の組み合わせは相性がいい。だからこそ日本のお米と和食はおいしい。日本のお米はヘルシーな料理や食べ方に合うのだと改めて感じる出来事だった。

とは言え、個人的には粘りが強い低アミロース米はおかずと合わせるよりも、そのまま白ごはんで食べるか、おこわを作るか、あるいは寒い時期(ここがポイント)のお弁当に入れるのが適しているように思う。

われわれが普段食べている日本のお米の多くは、日本の食卓との相性が良い、絶妙なアミロース値なのだ。

和食という食文化があるから日本のお米はこのアミロース値なのか、日本のお米があるから和食という食文化が成り立ったのか…両方の要素がありそうだが、改めて稲を選抜・育成してこられた先人や農業試験場の偉大さを思う。