柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

お米との相性

誰かが「このお米おいしいよ」と言っても、そのお米は必ずしも他の誰もが「おいしい」とは思わないかもしれない。誰かがが「このお米おいしくない」と言っても、そのお米は必ずしも他の誰もが「おいしくない」と思わないかもしれない。

粘りが少なくすっきりとしたお米が好きな人もいれば、粘りが強く甘さの強いお米が好きな人もいて、粒立ちと弾力が良いお米が好きな人もいれば、やわらかいお米が好きな人もいる。

香りの良し悪しが人一倍気になる人もいれば、香りにそこまで敏感ではないけど舌触りに敏感な人もいて、お米は甘くないとダメと言う人もいれば、甘さより旨みでしょと言う人もいる。

お米の好みは千差万別なのだから、誰かの「おいしい」「おいしくない」よりも、自分が食べておいしいかどうかが重要。相性の良いお米とマッチングできたら、それはとても幸せなことだと思う。

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独身時代、福島県の土屋睦彦さんと土屋直史さんのお米(つちや農園の「亀の尾」「ひとめぼれ」「ゆうだい21」)を初めて食べたときはそのおいしさに感激したので、きっと相性が良かったのだと思う(お米だけでなく人間の相性も良かったようで、直史は夫になった)。

そして、昨年(令和2年産)おいしかったお米たちの中に福岡県の平尾孝市さんの「みのりつくし」と「元気つくし」がある。今年(令和3年産)は「元気つくし」だけ食べることができたのだけど、令和2年のほうが食感が良かった。しかし、その詳細な食感のマイナス面が気にならない、全体な感覚的なおいしさがあった。うまく言えないけど、相性の良いお米だなと感じた。

人と話して相性の良い悪いがなんとなくわかるように、お米も食べることで相性の良い悪いがなんとなくわかる。お米を食べることはお米と対話していることなんだな。いろいろなお米と対話を重ねて、いつかお米の声が聴こえるようになったら嬉しい。