柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

「金とり会」に学ぶこと

酒米を自社栽培している酒蔵でつくる「農!といえる酒蔵の会」の福島セミナーに参加した。

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福島県日本酒アドバイザーの鈴木賢二さんの講演で、福島県の「高品質清酒研究会」通称「金とり会」で行われるという「持ち寄り会」が紹介された。

ちなみに「金とり会」は、鑑評会で「金をとることを目指す会」という意味らしい。

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そして、「持ち寄り会」とは、会員の各蔵が自社の日本酒を持ち寄ってみんなで飲み、自社の日本酒の立ち位置を知ったり、何の酵母を使っているかなど酒造について質問や意見を交わす会だという。「鑑評会出品者全体の底上げにつながっている」と鈴木さん。

同様に米農家がお米を持ち寄ったらとてもおもしろい取り組みになりそう。意識が高い産地ではすでに行われていそうだけど。

似ているような似ていないような例で言えば、お米の食味の高さを競う「米食味分析鑑定コンクール国際大会」。

主催の「米食味分析鑑定協会」認定の「米食味鑑定士」という資格を取得すると、実食の審査員を務めることができる。

米農家で米食味鑑定士を持っている方は、コンクールにノミネートされた高食味米を食べ比べることができるという意味では、この持ち寄り会に近い体験をされているなと感じる。自身のお米もノミネートされたという農家の場合はなおさら学びが多いように感じる。

とは言え、当然ながらブラインド実食で、その場にお米の各生産者がいて食べながら語り合う…といったことはできない。

お米も各産地で「持ち寄り会」を行ったり、コンクールで知り合った者同士で私的勉強会を開いて「持ち寄り会」も開いたりすることはめちゃくちゃ有意義なのではと思う。

日本酒はお米からできているが、食べるお米は日本酒から学べることが多いなと感じた「農!と言える酒蔵の会」であった。