令和4年産米を2022年秋から2023年春分の日(2月4日)までの約4ヶ月間で計116種類のお米を食べてきた中で、特に「めちゃくちゃおいしい!」と感じたお米を3つ紹介する。
■武山昌彦さん(武山農園)北海道・剣淵町
「ななつぼし」
武山さんのお米は「ゆめぴりか」「ゆきさやか」「ななつぼし」を食べた。
「ゆきさやか」は品種自体食べるのは初めて。低アミロースだと思って1合につき10g加水量を減らして炊いたけど、農研機構の資料によると「やや低アミロース」だった。
ツヤツヤの炊きあがりで表面のおねば感が「ゆうだい21」っぽい。意外にも程よい粘りでもちもち。しっかり食感。めちゃくちゃどっしりしていてお腹にたまるあたりは低アミっぽいけど、「ゆめぴりか」よりも硬めで粘りは薄い。加水量は減らさなくて良かったと感じた。
もちもち好きだけど「ゆめぴりか」ではやわらかすぎる…という人におすすめ。
また、「やや低アミ」でも「夢ごこち」とはまったく違う食べごこち。「アミロース低めはこういう食感」という先入観が打ち砕かれた。
一方で「ゆめぴりか」は、中アミロース米っぽい低アミロース米。中アミなんて用語はないけど、やや低アミの「夢ごこち」的な食感。
低アミロースは「餅くさいザ・低アミロース米」が好きな人もいれば、「低アミロースっぽくない低アミロース米」が好きな人もいる。人によって「おいしさ」はそれぞれ。
そういうわけで「ゆきさやか」も「ゆめぴりか」もおいしかった。後に「八代目儀兵衛」の「お米番付」で「ゆきさやか」が最優秀賞を受賞されていて納得した。
だが、個人的な好みもあるが、「ゆきさやか」「ゆめぴりか」以上に「ななつぼし」がおいしかった。これはもう好みの問題だと思うが、「しっとり・ほろほろ・ふうわり」「粒立ちしっかり・弾力しっかり」「甘味よりも旨味」が好きな私にとって、ド好みのお米。しかも、米肌はなめらかで、咀嚼してもなめらか。え〜なにこれ。鼻息があらくなる。フンフン。令和5年産も楽しみなお米。
■土屋睦彦さん・直史さん(つちや農園)福島県・猪苗代町
「コシヒカリ」
令和2年産に続き良食味。かつては「コシヒカリ」がつくれない寒冷地だったそうだけど、今では「ひとめぼれ」よりも「コシヒカリ」のほうが気候に適しているように感じられる。
ツヤ・粘りがあって、弾力があって、しっとりなめらかでバランスがいい。
甘味もあるけど、旨味が強い。
土鍋と炊飯器早炊きで炊き比べると、早炊きのほうが「ほろほろ・ふうわり」なエアリー感がある。飲み込むときに喉でも旨い。
生の米を見てみると、しっかりと腹が太って実が充実しているのがわかる。
白飯だけで食べ続けられるお米。
■「村松商店」長野県小諸市・耳取地区
「コシヒカリ」
お米屋が扱う耳取地区の3人の生産者によるコシヒカリ。
すっきりとした食べ心地でありながら、しっかりとした旨味が後からぶわっと広がり、甘味の余韻も感じられる。
土鍋と炊飯器早炊きで炊き比べると、土鍋の場合は冷めてからのほうが粒立ちが良くなり好み。早炊きのほうは…出た!土鍋と同様の味わいに加えて、このエアリー感!このお米も早炊きが好みだった。
アルミ鍋だと粒立ち良く甘味と旨味はしっかり感じられるが、ちょっとざらついてしまったのは、私の火の入れ方のせいかな。
「3つ」と書いたけど、甘味に驚いたおいしいお米も追記
●森本久雄さん 岐阜県高山市
「コシヒカリ」
土鍋で炊くと、舌を刺すような甘味。今までになかった感覚!口の中が甘いというよりは、舌の上が甘い。余韻も甘い。とは言え、旨味のほうが強い。白飯だけでおいしい。
炊飯器早炊きのほうがふっくらと炊くことができ、粘り強い土鍋よりも少しあっさりめの炊き上がりになり好み。咀嚼してすぐに旨味、咀嚼の後半で甘味。余韻も甘い。
アルミ鍋炊きだと、弾力が最も強くなり、旨味が強くなり、しっとりほろほろ系で好み。令和3年産よりもおいしいと感じたが、食味値的には令和3年産のほうが高かったそうで、食味値とベロメーターの相関性にはやはり疑問が多い。
他にも、栃木県大田原市・阿久津政英さん「ゆうだい21」、山形県高畠町・渡部洋巳さん「つや姫」、栃木県小山市・柿木芳里さん「とちぎの星」、福島県会津若松市・会津水稲研究会「コシヒカリ」、新潟県妙高市・山下岳幸さん「新之助」、静岡県森町・堀内智加次さん「にこまる」、福島県猪苗代町・土屋睦彦、直史さん「晴太朗」、北海道室蘭町・宮武正人さん「ゆめぴりか」、福島県猪苗代町・土屋直史さん「亀の尾」もおいしかった。あと、「土鍋はおいしい」とか「早炊きはおいしい」とか炊き方によってはおいしいお米もあった。
あくまで「おいしい」は私の「好み」であることを付け加えたい。おいしさは人それぞれ。
2月5日以降のおいしいお米については、夏くらいに書こうかな。