柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

出品生産者が審査員になるコンペティション

新潟県南魚沼市の若手の稲作農家たちでつくる「魚沼ブラザーズ」主催の「最高米グランプリin魚沼」の審査員として南魚沼市へ。

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昨年から始まったこのグランプリはおいしいお米作りを目指す生産者たちがお米のおいしさの尺度を明確にしようと開催していて、なんと各生産者たちも官能審査をする。勉強会で食べ比べを行う生産者の方々はいらっしゃるが、コンペティションにしてしまうところがすごい。

このグランプリは、魚沼ブラザーズのコシヒカリを審査する「コシヒカリ部門」と、新潟県外の生産者も含めたコシヒカリ以外の品種を審査する「多品種部門」からそれぞれ最高金賞1名と金賞2名が決まる方式。

県外からは熊本県、山形県、福島県、岐阜県、長野県のお米が出品されただけでなく、そのお米の生産者も審査員として加わった。

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講習の講師も務めさせていただき、実体験を交えながらお米の食味に関わるあれこれをお話させていただいた。

素晴らしいと感じたのは、終了後にどの審査米が誰の何の品種だったのか提示があるだけでなく、審査員(17人)の誰がどういう順位付けをしたのかということがすべて提示されること。他のコンクールで見たことがない。なぜないのだろう。

他の審査員の評価を知ることができるのは学びになるし、あとから生産者が審査員に選んだ基準や理由を尋ねることもできる。コンクールの結果が出ても、その内訳が点数や順位以外はブラックボックスになっているよりも、コンクールの結果を経て生産者が次の作付けにつなげられる何かが得られるかもしれないし、審査員も自分の尺度と周りの尺度の違いを認識して、審査員同士で意見交換したりして、「おいしいお米とは何か」を深掘りするきっかけになるかもしれない。

審査結果を詳細に知ることで、おいしいお米は一つではないということ、私のおいしいは誰かのおいしいではないし誰かのおいしいは私のおいしいではないということを改めて感じるとともに、そうは言っても味覚は極めて独りよがりなものであるとも思っているので、自分の評価と他の審査員の評価が同じだとホッとしたり。笑

コシヒカリ部門の最高金賞は南魚沼市「桑原農園」桑原真吾さん。多品種部門の最高金賞は南魚沼市「ひらくの里ファーム」青木拓也さんの「新之助」。

コシヒカリ部門の金賞は南魚沼市「ゆきやまと農場」村山周平さんと、南魚沼市「ひらくの里ファーム」青木拓也さん。
多品種部門は南魚沼市「桑原農産」桑原真吾さんの「新之助」と、岐阜県下呂市「源丸屋ファーム」曽我康弘さんの「いのちの壱」。

そして、Panasonic山本百合恵さんの審査員特別賞は南魚沼市「関農園」関智晴さんの「コシヒカリ」。柏木の審査員特別賞は福島県・猪苗代町「会津猪苗代カンダファーム」神田忍さんの「ゆうだい21」。

ご受賞された皆さま、おめでとうございます。

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翌日は魚沼ブラザーズこまがた農園さんの冷蔵倉庫や精米設備、こまがた農園さんの米粉菓子店「qute」と、同じく魚沼ブラザーズ関農園さんの雪室倉庫や精米設備を見学させていただき、関農園さんのおむすび屋「farm front」でおむすびランチ。両農園ともお邪魔した全員の語彙力が奪われ「すごい」の連発だった。

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魚沼ブラザーズの皆さま、貴重な機会をいただきありがとうございました。