もち米は一目見れば「もち米だ」と分かる。うるち米には透明感があるが、もち米は不透明で白いからだ。
不透明な白色(白濁)といえば、「いじらしいイネの生命力」で紹介した「乳白米」や「シラタ」も同様だが、乳白米ともち米の白さの原因は違う。
乳白米を含めた粉状質粒の原因については「いじらしいイネの生命力」で説明したが、もち米が白い原因は、でんぷんだ。
でんぷんには「アミロース」と「アミロペクチン」があり、私たちが日頃食べているごはんのお米はざっくり言うと、アミロース20%:アミロペクチン80%という比率だが、もち米はアミロースがゼロで、アミロペクチンでできている。
アミロースはブドウ糖が1本の鎖状に連なっていて、ブドウ糖の粒と粒に隙間がない。
一方で、ブドウ糖が枝分かれした状態のアミロペチンには隙間がある。
このため、光を乱反射して不透明な白色に見えるというわけだ。
アミロースは隙間がないので水を吸いづらいが、アミロペクチンは隙間があるので水を吸いやすいという違いもある。でんぷんがアミロペクチンであるもち米は、隙間があるため不透明な白色で、水を吸いやすい特徴があるのだ。
粘りが強くて水を吸いやすいもち米は、うるち米のように炊飯すると柔らかくなりすぎるため、蒸す調理法が向いている。
ちなみに、もち米の玄米「もち玄米」ならば炊飯して食べることができる(「玄米もち」ではない)。かなりこってりとした味わいなので、好みは分かれそうだと感じる。
こうしたお米にまつわるアレコレを書いた拙著が5月19日に発売予定(もち米の白さの原因については書いていません)。普段何気なく食べてきたお米の見方・考え方が変わるきっかけになれば嬉しいです。
「知れば知るほどおもしろい お米のはなし」(三笠書房 知的生き方文庫)