朝食は納豆ご飯と味噌汁。15年ほど前から変わらない習慣だ。
このセットに焼き海苔がつくこともあれば、糠漬けがつくこともある。
納豆の脇に娘の弁当用の余った塩じゃけをのせることもある。
少し前から、わが家の偏食娘が玉子焼きを食べてくれるようになった。
「食べてくれる」どころか、今ではすっかり娘の「好きな食べもの」に昇格している。
すると、私の納豆ご飯にも、娘の弁当用の余った玉子焼きをのせるようになった。

これがいい。食べておいしいのはもちろんだが、視覚的にいい。
玉子焼きの黄色が目に飛び込んでくるだけで、小さな幸せに浸ることができる。
だから玉子焼きは食べ進めつつも、ひとくちだけ最後まで残しておく。
「幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ」はなぜ黄色いのだろう。玉子焼きというものはきっと多くの人によって「幸福の黄色い玉子焼き」であるように思う。フランス語で卵は「ウフ(œuf)」。さも幸せそうな言葉の響きである。
『魔女の宅急便』でパン屋のオソノさんが魔女のキキに「黒は女を美しく見せるんだから」と話すシーンがあり、その言葉を信じて私は黒い服ばかり着ているのだが、たまには玉子焼き色の服を着てみたら幸せになれるだろうか。