柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

「正月は特別だからな」

「一年の計は元日にあり」という言葉は「物事を始めるにあたって最初にきちんとした計画を立てるのが大切」という意味のことわざ。

1月7日で松の内が明ける

そうわかっていても「一年の計は元旦にあり」という言葉は文字面をそのまま受け止めると「精神的に追い詰めてくる言葉だなあ」と感じてしまう。元日にミスをしたり手を抜いたりすると、1年間にわたってそれが後を引いてしまうような気がしてしまうのだ。

そんなとき、いつも思い出されるのが伯父のこと。小学生の頃、伯父と2人で正月に出かけたとき、神社の境内にいた屋台でたこ焼きを買ってくれた。「普段は神社の境内では食べちゃだめだけど、正月は特別だからな」と伯父。2人で境内の隅に座って熱々のたこ焼きを頬張った。

家から神社まで行きはバスに乗ったが、帰りは2時間ほどかかる距離を歩いた。途中で休憩と称して回転寿司に入り2人で寿司を食べた。再び「正月は特別だからな」と伯父。「この色の皿だけ食べるんだぞ」と言われて2、3枚の皿を取って寿司を食べてからまた歩き始めた。

そういえば、横断歩道のないところで道路を横断するときも伯父は「正月は特別だからな」と言っていた。

伯父のこの言葉を思い出すと「一年の計は…」の息苦しさから解放される。