柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

2024-01-01から1年間の記事一覧

令和6年産おいしかった米・2024年11月1日から12月31日までに食べたお米

令和6年産米を2024年11月1日から12月31日までの2ヶ月間で計36種類食べてきた中で、特に「めちゃくちゃおいしい」と感じたお米を4つ紹介する。順番は順位ではなく、食べた順番。 ※コンクール決勝審査で食べたお米・玄米審査で食べたお米は除く。 ◼️渡辺源衛(…

「お米だけは国産」でない時代

神奈川県のスーパーで台湾産米を発見。平積みで売り場スペースが一番広いということは売れ筋なんだろうか。 神奈川県の米屋から「横浜のベトナム食材店で10キロ4,000円のベトナム産日本米が飛ぶように売れていた」と聞いた。 スーパーを見て回ると現在の国産…

初めての「お米日本一コンテストinしずおか」

「お米日本一コンテストinしずおか」の審査員として静岡県静岡市へ。 出品された504点から機械審査でノミネートされた75点を3班にわかれた審査員たちがトーナメント方式で実食審査。このコンテストの審査は初めてだったけど、お米の質のみならず炊きあがりが…

「粒すけ」の粒を感じたい

「千葉米食味コンクール最終審査会」の審査員として千葉県へ。 出品資格はJA組合員。出品米100点の中からノミネートされたコシヒカリ部門4点と粒すけ部門4点を審査した。 いずれの部門も全体的に食感に猛暑の影響が感じられつつも味は良かった。 2020年にデ…

129種類のお米を食べた2日間

日本最大規模の米コンペティション「第26回 米・食味分析鑑定コンクール国際大会」のために家族で山梨県北杜市へ。標高1000メートル超! 今年の出品米総数は4736点。昨年に引き続き、昨年も全部門の審査をさせていただき、2日間で計129点のお米を食べた。 国…

粒食は粒感が重要

「つくばみらい市米コンテスト」の審査員として茨城県つくばみらい市へ。来年の米食味分析鑑定コンクール国際大会の会場がつくばみらい市のため、今回は国際大会のプレ大会。 ノミネート米は、県内の生産者による計24点。内訳は、「コシヒカリ」11点、「ゆう…

食味値よりも整粒値?

「玉川産米食味コンクール」の審査員として福島県・玉川村へ。玉川村は福島空港がある自治体でサルナシが特産のひとつ。紅葉が美しかった。 5名のノミネート米は昨年同様すべて「コシヒカリ」。 開始前に職員の方から「例年に比べて食味値が数点高めの傾向」…

ソウルフードとは

先日、某県の「県民のソウルフード」と聞いていた商品を食べたのだけど、率直に言うと期待外れだった。 夫に言うと、「その県民だけがおいしいと思うからソウルフードなんだろう」とのこと。 そもそも「ソウルフード」とは「米国南部の黒人の伝統的な料理」…

カミアカリの味わいを言葉で表現する

今年も静岡県藤枝市で開かれた「 カミアカリドリーム勉強会 」に夫と娘と一緒に参加。 巨大胚芽米「カミアカリ」の生みの親、 松下 明弘さんを含めた全国7生産者のカミアカリ、秘密のカミアカリ、静岡県農林技術研究所の巨大胚芽黒米の計9種類を試食。「カミ…

お米を食べて日々努力

文化の日、福島県・天栄村「天栄米食味コンクール」の審査員を務めさせていただいた。 昨年はノミネート米15点のうち、10点が「ゆうだい21」、5点が「コシヒカリ」だったが、今年は総合部門ノミネート米10点のうち8点が「ゆうだい21」、残り2点は「コシヒカ…

令和6年産おいしかった米・2024年8月21日から10 月31日までに食べたお米

令和6年産米を2024年8月21日から10月31日までの約2ヶ月間で計33種類食べてきた中で、特に「めちゃくちゃおいしい」と感じたお米を4つ紹介する。順番は順位ではなく、食べた順番。 ※コンクール決勝審査で食べたお米は除く。 ◼️佐藤孝文さん・佐藤真由美さん(…

自分のお米を食べ続けて80年

昨年に引き続き「西会津一うまい米コンテスト」の審査員として西会津町へ。 審査させていただいたのはコシヒカリ部門で、ノミネート米は5種類。西会津町のコシヒカリはあいかわらずどれもツヤッツヤ。そして、やわらかくて、粘りが強い。 全体的に猛暑と渇水…

激減するお米屋さん

米屋は1972(昭和47)年に約4万件、20年後の1994(平成6)年は約3万4000件あったが、それから20年後の2016(平成28)年には約9800件と3分の1以下にまで激減した。 内訳を見ると、1994年は法人経営の米屋が約1万件、個人経営の米屋が約2万4000件だったが、201…

青米はおいしいのか?

◆青米だらけの玄米の味わいは? 完熟直前の活青米が混ざっているお米は、「刈り遅れ」ではない証として好まれることもある。 「刈り遅れ」とは、稲刈りに最適なタイミングを逃してしまい、品質や味わいが落ちてしまうこと。 活青米がお米に混ざっていると「…

稲作農家を苦しめる“慣習”

兼業農家や年金暮らしの高齢農家の中にはコンバインがなく田植えや稲刈りなどの作業を近隣の専業農家にお願いするという場合が多い。各地域には「農作業受託料金表」というものがあり、作業ごとに委託料が決まっている。 だが、委託者と受託者が同じ集落の場…

「味は変わらない」PRの罪

昨年、新潟県をはじめとした各産地では高温の影響を受け、お米の一等米比率が低かった。 品質低下がお米の歩留まり率を下げ、今年の夏のお米の品薄感にもつながっているわけだが、昨年の新米時期にテレビやネット動画で「味は変わらない」というフレーズを何…

稲作の離農問題について言いにくいけど言いたいこと

高齢で稲作をやめる農家が増えている。 その影響で、「うちの田んぼもやってくれと頼まれるけど受けきれないので断っている」という農家や、「毎年2〜3町歩ずつ田んぼが増えていて、どこでストップをかけようか迷っている」という農家の声を耳にする。 そう…

「取り込み詐欺」と「買います詐欺」

「取り込み詐欺」という言葉を知っているだろうか。 代金後払いで商品を注文して、商品を受け取っても代金を支払わないといった手口の詐欺のことだ。 知り合いの米農家が以前にこの詐欺の被害にあった。 ある新規の業者から少量の発注が入り、後払いで応じた…

ポツンと「もち米」

「令和の米騒動」と言われる状況が続いている。 スーパーのお米売り場は軒並みお米が品薄となっているが、ほとんどのスーパーにも残っているのが、もち米。 「もち米を買ったって調理が大変」「毎日もち米では胸焼けするか胃もたれする」と言われそうだが、…

あるべきお米の価格とは

chihogohan.hatenablog.com 「令和の米騒動」と言われるほどの米の品薄状態が続いている。 各局がこの話題について報道しているが、ある番組でお米のネット通販の注意事項について呼びかけていた。 その内容は ①発送時期に注意。9月半ばからスーパーなどの店…

お米を買いすぎてしまったら

『「米騒動」を考える』でも書いたようにお米が品薄になっている。 「米不足」の報道を見て、ついつい買いすぎてしまった人もいるだろう。 お米は「乾物」と思われるかもしれないが、精米したお米は日持ちしない。 白米は、お米の脂質や、精米時にお米の表面…

「令和の米騒動」を考える

米価高騰、お米の不足感から、「令和の米騒動」と呼ばれている。 ◆歩留まりの悪さ 昨年の秋冬に令和5年産のお米について、東京の米屋からは「カメ・ヤケだけでも60kgあたり500gから1kgは抜ける(シラタは別)」と聞いた。「カメ」はカメムシに食われたお米の…

令和5年産・おいしかった米・8月新米切り替え前に食べたお米

令和5年産米を2024年8月に3種類食べた。少ないのは、8月は途中から令和6年産米(新米)に切り替えたから。特に「めちゃくちゃおいしい」と感じたお米を1つ紹介する。 ◼️「ふなくぼ商店」東京・清澄白河ブレンド米「お結びスペシャル・ブレンド」 日本で最も…

令和5年産 おいしかった米・2024年7月末までに食べたお米

令和5年産米を2024年4月1日から7月31日までの約4ヶ月間で計39種類食べてきた中で、特に「めちゃくちゃおいしい」と感じたお米を1つ紹介する。順番は順位ではなく、食べた順番。 ◼️農事組合法人「多良木のびる」 熊本県・多良木町 「にこまる」 外観はしっと…

赤ワインに合う黒い香り米

夫の誕生日に毎年恒例の「ごはんケーキ」を作った。誕生日とクリスマスはごはんケーキが定番化している。 白飯はつちや農園「ひとめぼれ」で、黒飯はナウシが栽培したイタリア中粒黒糯米(香り米)「nero venere」。トッピングはアボカドとピンクペッパー。…

おむすび考

日本でもおむすびブームが到来している。 でも、「おむすび」といってもいろいろで、カウンターでむすびたてをすぐに食べてもらうのがウリの店もあれば、ガラスケースに並ぶおむすびをお客がテイクアウトする店もある。 個人的には、冷めた状態でおいしいお…

具のない炭水化物

いつも炊き込みごはんを食べない娘が、白飯に茹でとうもろこしの粒をむしってのせて「とうもろこしごはん」と喜んでいたので、休日のランチに炊き込みのとうもろこしごはんをつくった。 娘は喜んでいたけど、よく見るととうもろこしだけを先に食べ尽くしてい…

皇居で育つイネ品種が選ばれた理由をわからないなりに考える

1927年に昭和天皇が稲作を初めてから、時の天皇陛下が皇居内の水田でお米を栽培されている。とれたイネやお米のほか、お米で醸したお酒は、神嘗祭や新嘗祭で供えられている。 つくられている品種は、うるち米の「ニホンマサリ」と、もち米の「マンゲツモチ」…

「玄米の味わいを言葉で表現するワークショップ」その1・完

「玄米の味わいを言葉で表現するワークショップ」を東京・人形町「遠忠商店」で開催した。企画・運営は、お米アドバイザーの門之園知子さんとお米ライターの柏木(わたし)。そして、元締めと炊飯は静岡県「安東米店」の長坂潔曉さん。巨大胚芽米の可能性を…

「さわのはな」を食べる

山形県産「さわのはな」という品種の玄米と白米を買った。その理由は、「さわのはな」が小粒なのかどうかを確かめるため。 20代のころ、都内のカフェで開かれたタネのイベントで「さわのはな」の生産者に出会った。 当時はお米のことをあまり知らなかったの…