柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

2020-01-01から1年間の記事一覧

炊飯と育児

先日、ある農家のお米を長時間浸漬してから炊飯器の早炊きモードで炊いたら甘さと旨みを感じた。 数日後にそのお米を長時間浸漬してから土鍋で炊いたら甘さが感じづらくなるほどの強烈な旨みを感じた。舌に触れるだけでおねばが旨い。そして、飲み込んでから…

「名飯部類」からの米食考・その2

前回に引き続き、江戸時代後期のご飯の専門書「米飯部類」を読んでいて最も興奮したのは「例言(そえごと)」にのっていたこの一節。 「諸米飯を炊くとき、米を選ぶことに最大の努力を払うこと。魚・鳥などあぶら気の強いものを入れるときは、性の軽い、味も…

「名飯部類」からの米食考・その1

先日、Eテレの「知恵泉」を見た。 稲に詳しい農学者の佐藤洋一郎氏がご出演されていたので、これは見なくてはと久しぶりにテレビの電源をつけた。 番組で「名飯部類」という150種類ものお米の食べ方がのった江戸時代の本があることを知った。「豆腐百珍」の1…

玉子丼で白飯を食べる

玉子丼が好きだけど、以前は白飯の上に玉子とじをのせるのが好きではなかった。 白飯と玉子とじは別々に食べるのが好きで、蕎麦屋で玉子丼をセパレートしてもらったこともある。今思い返すと迷惑な客だ。 でも、今は白飯に玉子とじがのった玉子丼のほうが見…

料理する乳児

白飯をおかずなどと一緒に食べて口の中で調味する「口中調味」は日本特有の食習慣である、と聞いたことがある。 たしかに海外に行くと、スープや具や調味料と一緒に火を通しているお米料理が多い。水だけで炊いた白飯だとしても、おかずをかけたりソースをま…

米の廃棄ロスをなくすには

新型コロナウイルスの影響で、お米の消費量が減っているそうだ。 飲食店から客足が遠のいたり、営業を自粛したり営業時間を短縮したりしていることを思えば、お米を炊く量は減っていることが想像できる。 常に、周囲ではステイホームや外食控えで自炊が多く…

「手抜き」が料理の手間を奪う

料理レシピを検索していて作ってみたい料理を発見しても、材料に「めんつゆ」と書いてあると断念せざるを得ない。うちにめんつゆはないからだ。 時短や簡略化は悪いことではない。めんつゆの使用は個人の自由であり、めんつゆや惣菜や冷凍食品などをフレキシ…

禁酒中の食事

授乳中につき禁酒中。妊娠発覚時からお酒を飲んでいないので、かれこれ1年7ヶ月にわたり禁酒が続いている。 禁酒してからは外食への興味が薄らいでしまった。 料理はお酒を飲むからおいしい。そうでなければ口の中が落ち着かない。あるいは、味付けされた料…

インド人はカレーとごはんを混ぜるのか

「37歳で納豆ごはんがおいしくなった」でも書いたけど、納豆ごはんの納豆をかき混ぜる派とかき混ぜない派が存在する。 でも、それだけではなかった。納豆とごはんをかき混ぜる派とかき混ぜない派もいることに気づいた。昔から納豆とごはんをかき混ぜない派だ…

37歳で納豆ごはんがおいしくなった

かつてはぶっかけ飯が苦手だった。 白ごはんを汚したくないという思いが強すぎて、丼ものを避け、たまごかけごはんや納豆ごはんなども食べなかった。 蕎麦屋で玉子丼を食べるときに店の人にお願いして、ごはんと具を別々にしてもらっていたこともある。我な…

皺々で色あせたグリンピースのごはん

初めてグリンピースごはんを食べたのは小学生の頃。家庭科の授業の調理実習だった。 その少し前に読んだ漫画の中で「グリンピースごはんが嫌い」な登場人物がいたので、きっとグリンピースごはんはピーマンみたいにおいしくないんだろうと思っていた。ピーマ…

素麺をおかずにごはんを食べる

夏場になると大量の素麺をいただくことがある。すると、「素麺がたくさんあるから昼食は素麺にするか」となりがちだ。 もしもその家庭が朝はパン派だとしたら、昼に素麺を食べると、朝も昼も小麦食になる。もしも夕食にパスタやラーメンを食べたら1日に1度も…

夫にとっての飴

以前にあるお宅でミネストローネをすすめられた。肉と乳製品が食べられないので、こういう時はドキッとする。 高い確率でベーコンが入っているだろうと思い、「肉が食べられないので…」とやんわりとお断りすると、ベーコンは入っていないから大丈夫よとおっ…

移動しながら食べるおいしさ

機内食が好きだ。特別おいしいとは思わないけど、移動しながら食べることがなんとなく楽しい。偏食なので機内食はいつもジャイナ教ベジタリアンミール。喜んで食べているけど、普段の生活ではわざわざ食べようと思わない。 家族で遠出する時に夫が運転する車…

娘がピーマンと出会う日は

独身時代、栄養士・幕内秀夫さんの著書「なぜ子どもはピーマンが嫌いなのか?」(西日本新聞社)を読んでナルホドと思った。 簡単に言うと、子どもは「緑色」「においが強い」「苦い」野菜を本能的に避けるのだという。緑は未成熟の信号、強いにおいは腐敗の…

こんな時こそお米を見直す

お米を買う人の49%はスーパーマーケットで買っている。次に多いのは縁故米で16%、その次がネットショップで9%。農家直売と生協が7%で、ドラッグストアが5%。お米屋で買う人は3%しかいない。 (平成30年2月時点・農水省「米をめぐる関係資料」) あるお米屋は…

太い錦糸卵

もうすぐ桃の節句。 今年はどんなちらし寿司を作ろうかと夫と相談していたとき、子どものころに食べた「わが家のちらし寿司」の話題になった。 「うちのちらし寿司には薄味に煮た椎茸と人参と蓮根が入ってた」「かあちゃんのちらし寿司はすし太郎だった」 赤…

めし泥棒になりたい

近所に住むリカさんの発案で、リカさん家でポットラックランチ会をした。つまりおかずをそれぞれ持ち寄ってみんなで食べようという会。 テーマは「ごはんに合うおかず」。私は塩むすびの他にきんぴらごぼうを持参。参加した4人がそれぞれ1、2品持ち寄るだけ…

みりんを飲む

消費税増税と共に軽減税率が導入されてから、みりんを買うたびにもやもやする。 これまでずっと愛用してきた「三河みりん」は軽減税率適用外となった。原材料が糯米と米麹と焼酎だけ。酒類と同じ扱いとなるらしい。 一方で、みりん風調味料は軽減税率適用だ…

葬式まんじゅうと黒飯

夫と付き合い始めたばかりの頃、夫に好きな食べものを尋ねると「葬式まんじゅう」と「黒飯(こくはん)」という答えが返ってきた。 いずれも葬式のときに食べるもの。言い換えれば、葬式の時にしか食べられない。 人が死んだ時しか食べられないものが好きだ…