柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

梅干しの炊き込みご飯

じめじめとした梅雨時、暑い夏の季節にぴったりな炊き込みご飯。具材は最低限、梅干しさえあれば炊ける手軽さも嬉しい。

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青紫蘇と炒り胡麻を入れると定番のおいしさだけど、個人的には青紫蘇と炒り胡麻を入れない梅干しだけの炊き込みご飯のほうが飽きずに食べ続けられると感じる。

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【材料】

・お米:2合(300g)

・冷えた出汁:量は手順参照

・梅干し:2粒

・みりん:大さじ1

・醤油:小さじ半分

・青紫蘇:入れる場合は適量

・炒り胡麻:入れる場合は適量

【手順】

①お米は冷水で洗ってから、冷蔵庫で6時間以上、浸漬(吸水)させる

②お米をざるにあげ、ボウルに移して重量をはかる(ボウルの重量は引く)。お米300g+炊飯水(出汁と調味料)400gで計700gにするため、みりんと醤油を入れたら、700gになるまで出汁を注ぐ

④ボウルの中身をすべて炊飯鍋に投入して、梅干しをのせて炊飯する

⑤炊けたら梅干しの果肉を潰しながら飯きりをして完成。青紫蘇と炒り胡麻を入れる場合は、両者を入れてから飯きりする

【ポイント】

・0表示機能付きキッチンスケールがあると便利

・出汁は事前に作って冷蔵庫で冷やしておく

・具材は最後にのせる(炊飯前に混ぜない)

 

炊き込みご飯だけで食べられてしまうので、おかずと一緒に食べるための白飯も炊けば、おかずは何を合わせようか問題も解決。

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しあわせの黄色い玉子焼き

朝食は納豆ご飯と味噌汁。15年ほど前から変わらない習慣だ。

このセットに焼き海苔がつくこともあれば、糠漬けがつくこともある。

納豆の脇に娘の弁当用の余った塩じゃけをのせることもある。

 

少し前から、わが家の偏食娘が玉子焼きを食べてくれるようになった。

「食べてくれる」どころか、今ではすっかり娘の「好きな食べもの」に昇格している。

すると、私の納豆ご飯にも、娘の弁当用の余った玉子焼きをのせるようになった。

小粒納豆と玉子焼き

これがいい。食べておいしいのはもちろんだが、視覚的にいい。

玉子焼きの黄色が目に飛び込んでくるだけで、小さな幸せに浸ることができる。

だから玉子焼きは食べ進めつつも、ひとくちだけ最後まで残しておく。

 

「幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ」はなぜ黄色いのだろう。玉子焼きというものはきっと多くの人によって「幸福の黄色い玉子焼き」であるように思う。フランス語で卵は「ウフ(œuf)」。さも幸せそうな言葉の響きである。

 

『魔女の宅急便』でパン屋のオソノさんが魔女のキキに「黒は女を美しく見せるんだから」と話すシーンがあり、その言葉を信じて私は黒い服ばかり着ているのだが、たまには玉子焼き色の服を着てみたら幸せになれるだろうか。

実山椒と油揚げの炊き込みご飯

先日、山椒の葉を使ってにしんの山椒漬けを仕込んだ。

そして、最近になって山椒が青々とした実をつけはじめた。

青々とした実山椒

実山椒を採り、沸騰した湯で7分ほど塩茹でした後に、冷蔵庫の中で一晩ほど水に漬けてアク抜き。油抜きした油揚げの細切りと一緒に炊き込みごはんにした。

実山椒と油揚げの炊き込みご飯

【材料】

・お米:2合(300g)

・冷えた出汁:量は手順参照

・実山椒:3つかみくらい

・油揚げ:1枚半

・酒:大さじ1

・醤油:大さじ1

【手順】

①お米は冷水で洗ってから、冷蔵庫で6時間以上、浸漬(吸水)させる

②お米をざるにあげ、ボウルに移して重量をはかる(ボウルの重量は引く)。お米300g+炊飯水(出汁と調味料)400gで計700gにするため、酒、塩、醤油を入れたら、700gになるまで出汁を注ぐ

④ボウルの中身をすべて炊飯鍋に投入して、下拵えしておいた実山椒と油揚げを最後にのせ、炊飯する

⑤炊けたら飯きりをして完成

【ポイント】

・0表示機能付きキッチンスケールがあると便利

・出汁は事前に作って冷蔵庫で冷やしておく

・具材は最後にのせる(炊飯前に混ぜない)

爽やかな香りに箸が進む。しっかりとアク抜きしたためか、青々としているうちに採取したためか、まったくビリビリ感がなくて食べやすい。個人的にはナンバーワン炊き込みごはんかもしれない。

おこげを肴に日本酒を飲むのもいい。

おこげもまたおいしい

「コシヒカリ信仰」に負けず食味で勝負

いろいろなコシヒカリ信仰

日本には「ブランド米信仰」があると言われている。

ブランド米には「つや姫」や「ゆめぴりか」などいろいろあるが、この表現における「ブランド米」を指すのは、おおむね「コシヒカリ」だ。

コシヒカリは1956(昭和31)年に生まれた品種で、1979(昭和54)年に作付け面積トップに躍り出て以来、半世紀近くにわたってその座を守り続けている。そういえば、コシヒカリ誕生から今年で70年を迎える。世界的な気候変動に見舞われている中、これってかなり異例のことではないだろうか。

だが、地域によっては夏場の高温でコシヒカリの品質が落ちてきている。

その一方で、高温耐性品種が続々と開発され、「にじのきらめき」をはじめとした高温耐性・多収品種も開発されている。

ところが、コシヒカリからの品種の入れ替えは進まない。「コシヒカリを減らして、にじのきらめきを導入した」という農家の声も聞くが、全体からみるとまだ少ない。にじのきらめきを新たに産地品種銘柄に登録する地域も増えているが、生産量は全体からみるとまだ少ない。

入れ替えが進まない要因には、農協の概算金がコシヒカリのほうが高い、高温耐性・多収品種への農協の対応が柔軟でない、種もみが足りないなど、栽培・流通の要因もあるが、消費者ニーズだけを見ると、「ブランド米信仰」「コシヒカリ信仰」が大きく影響していると言われていて、たしかにその要素は大きいと感じる。具体的には、「①コシヒカリの品質が落ちたように感じていても、コシヒカリを買い続けている→コシヒカリ一択信仰」「②品質の落ちたコシヒカリを食べてもイマイチだと思わない→頭で食べるコシヒカリ信仰・ご飯の食味に無関心なコシヒカリ信仰」という2パターンが多いのではないだろうか。

一方で、「③コシヒカリがイマイチに感じられて、高温耐性と言われる品種を買ってみたが、それもイマイチだったのでコシヒカリを買っている」というパターンもあるだろう。

あくまでコシヒカリの品質が落ちている場合を前提にしているので、もちろんおいしいコシヒカリを食べている人もいることも付け加える。

コシヒカリが売れれば、コシヒカリを栽培するのは、当たり前のことだ。

頑張れ「にじのきらめき」

注目されているにじのきらめきについて率直な感想を言うと、なかなかおいしいにじのきらめきに出会える機会がない。品種特性としては「コシヒカリ並みの高食味」と言われているのだけども。にじのきらめきの評判を聞くと、ある米屋は食味をイマイチだと切り捨て、別の米屋は「ブレンド米の原料として優秀」という評価だった。だからこそ、2年前に栃木県の生産者のにじのきらめきが比較的おいしかったときは驚いた。品種特性はあくまで品種特性であり、食味を決めるのはやはり栽培が大きいのだ。

なかなかおいしいにじのきらめきに出会えないのは、あくまで収量重視で高食味を目指して栽培されていないためなのか、あるいは高温耐性を超える高温に見舞われているためなのか。信仰の強弱にもよるが、「おいしかったらコシヒカリ信仰からの離脱はあり得る」という人も少なからずいるはず。そういう意味で、高温耐性・多収品種の普及が進まない要因を「ブランド米信仰が普及の壁」というふうに全面的に信仰のせいにする論調はどうも引っかかり、食味で負けているという側面から目をそむけているように感じる。

「ブランド米信仰」「コシヒカリ信仰」という言葉には、消費者を揶揄するような雰囲気も若干感じられるが、実際コシヒカリはすごい品種なのだと思う。70年間作り続けられてきた品種には、それだけ多くの人たちの尽力が積み重ねられてきたのだ。コシヒカリ信仰の良し悪しは置いておいて、関わってきた人たちを称賛すべきだと感じる。

「令和の米騒動」後は、栽培面において収量重視の風潮になってきているが、やはりおいしいお米が食べたいという層も多いのではないだろうか。選ばれるためには価格だけでなく「おいしさ」が欠かせない。私たちが食べるのは価格ではなく、目の前のご飯なのだ。「コシヒカリ並みの高食味」と言われているにじのきらめきの名誉が回復されるようなにじのきらめきに出会いたい。

にじのきらめきばかりを例に挙げてしまったが、ある品種の普及拡大には、まずはコシヒカリに匹敵する高食味米が出回ることがスタート地点。現代は特に口コミの力は大きいので、一発逆転だってあり得ると感じている。

椎茸の炊き込みごはん

超偏食な6歳の娘が「しいたけごはんがたべたい」と言い出した。

彼女は最近になって炊き込みごはんのおいしさにほんの少しだけ目覚め始めたようで、ひとくちくらいは食べてくれるようになった。

ちなみに6年間生きてきた彼女が初めて口にした炊き込みごはんは、5歳のときに食べたアミガサタケの炊き込みごはん。それから1年ほど炊き込みごはんには興味を示さなかったが、この春から風向きが変わってきた。

そして、先日カレーに入れた椎茸がおいしかったようで、「しいたけごはん」が食べてみたくなったようだ。あまりにも偏食なので、カレーの椎茸を食べたときも驚いたが、椎茸ごはんのリクエストにも驚いた。

娘の椎茸ごはん熱が冷めないうちにさっそく作ってみた。

椎茸の炊き込みごはん

【材料】

・お米:2合(300g)

・冷えた出汁:手順参照

・椎茸:大きめ4枚

・酒:大さじ1

・塩:ひとつまみ

・醤油:大さじ1

【手順】

①お米は冷水で洗ってから、冷蔵庫で6時間以上、浸漬(吸水)させる

②椎茸は薄切りに

③お米をざるにあげ、ボウルに移して重量をはかる(ボウルの重量は引く)。お米300g+炊飯水(出汁と調味料)400gで計700gにするため、酒、塩、醤油を入れたら、700gになるまで出汁を注ぐ

④ボウルの中身をすべて炊飯鍋に投入して、最後に椎茸をのせ、炊飯する

⑤炊けたら飯きりをして完成

【ポイント】

・0表示機能付きキッチンスケールがあると便利

・出汁は事前に作って冷蔵庫で冷やしておく

・具材は最後にのせる(炊飯前に混ぜない)

炊いている最中から旨みが濃縮したような香りが漂い、実際に食べてみても、旨みが濃い。

出しは昆布と鰹節でひいているので、昆布のグルタミン酸と鰹節のイノシン酸、そこに椎茸のグアニル酸が融合するのだろうかと思ったら、グアニル酸は干した椎茸にしか含まれていないらしい。

椎茸のみの潔さ

椎茸は通年販売されているのでいつでも手軽にいつでも楽しめる。以前、福島県・天栄村でいただいたような肉厚な椎茸でも試してみたい。おいしい椎茸ごはんのために自宅での原木椎茸栽培にも興味がわいてきた。

みょうがと油揚げの炊き込みごはん

旬の食材を見かけると、まずは炊き込みごはんにしたくなる。

炊き込みごはんという食べ方が最も「旬を味わっている」という気持ちにさせてくれるのは、たけのこごはんや栗ごはんなどによって「炊き込みごはん=旬の食材」という経験が染みついているからだろう。これは私だけではない気がする。

最近、スーパーで売られている高知県産のみょうがが若干安くなってきたことで、夏みょうがの季節の到来に気づいた。

さっそく、みょうがと油揚げの炊き込みごはんを作った。

みょうがと油揚げの炊き込みごはん

【材料】

・お米:2合 (300g)

・みょうが:3個

・油揚げ:1枚

・冷たい出汁:手順参照

・酒:大さじ1

・塩:ひとつまみ

・醤油:小さじ2

【手順】

①お米は冷水で洗ってから、冷蔵庫で6時間以上、浸漬(吸水)させる

②みょうがを千切りに、油揚げは油抜きをしてから細切りに

③お米をざるにあげ、ボウルに移して重量をはかる(ボウルの重量は引く)。お米300g+炊飯水(出汁と調味料)400gで計700gにするため、酒、塩、醤油を入れたら、700gになるまで出汁を注ぐ

④ボウルの中身をすべて炊飯鍋に投入して、最後にみょうがと油揚げをのせ、炊飯する

⑤炊けたら飯きりをして完成

【ポイント】

・0表示機能付きキッチンスケールがあると便利

・出汁は事前に作って冷蔵庫で冷やしておく

・具材は最後にのせる(炊飯前に混ぜない)

みりんを入れず、食べ飽きない味わいを目指した炊き込みごはん。油揚げの旨みとみょうがの爽やかさを生かせるようあっさりめの味付けに仕上げた。

酒を入れると風味や旨みが増すことに加え、魚介系などの場合は生臭みを抑えることにつながる。また、沸点が高くなるので、栗や里芋、さつまいもなど、しっかりと火を通したい具材の場合は、酒を入れたほうが良いと感じる。

具材いれすぎに注意。これくらいがちょうど良き

アパート住まいだったときにスーパーでみょうがを買っていたら知り合いのママから「みょうがを買うなんてもったいない!うちなんて庭に生えてるよ!」と言われたことがある。みょうがとは、そういうものらしい。みょうがを買うたびに思い出してしまうので、アパートから一軒家に引っ越したときに庭にみょうがを植えてみたのだが、どこに植えたのかわからないくらい何も出てこず、今でもみょうがはスーパーで買っている。

「○○らしい食べもの」

家族で外食をすると、私だけが日本酒を注文する。そんな場面がまあまあ多い。

オーダーした私の前に日本酒を置いてくれる店員さんもいれば、日本酒を持ったまま「お待たせいたしました」とだけ言ってこちらが「あ、私です」と名乗るまで待つ店員さんもいれば、確認せず夫の前に日本酒を置く店員さんもいる。

当たり前のように夫の前に日本酒を置く店員さんに会うたびに、小学生のころ伯父とレストランに入ったときのことを思い出す。

母の郷里に帰省すると、伯父と2人で遊びに出かけることが何度かあった。

レストランに入ったときのこと。私は「ステーキとごはん」を注文し、叔父は昼食時にもかかわらず「チョコレートパフェ」を注文した。すると、「お待たせいたしました」と料理を持ってきた店員さんは、確認することなく私の前にパフェを、叔父の前にステーキを置いたのだ。小学生ながらに世の中の「パフェ=子ども」という先入観を思い知った。

同じように、夫の前に日本酒が置かれると、いまだに「日本酒=男性」あるいは「アルコール=男性」という先入観を持っている人もいるんだなと思い知らされる。

「女性らしい食べ物」とか「可愛らしい食べ物」など「○○らしい食べ物」というイメージは世の中に溢れている。

新聞記者駆け出しのころ、ある人から食事にお声がけいただいたことがあった。

昔ながらの洋食店で、その人はなぜか私にオムライスやパフェなどをすすめてきたが、私はどれも好きではないので「高菜ピラフ」を注文した。すると、「もっと可愛いものを食べたらいいのに」というようなことを言われ、残念そうにされた。

価値観の押し付けは良くないが、誰もが「○○らしい食べもの」のイメージは意識的にも無意識的にも持っているのではないだろうか。

「ドラえもん」のしずかちゃんが最も好きな食べものは「焼き芋」。でも、そのことを知られるのが恥ずかしいようで、のび太から「好きな食べもの」を尋ねられたときは「チーズケーキ」と2番目に好きな食べ物を答える回があった。

娘と一緒にこの回を見ながら「焼き芋が好きなことは恥ずかしくないよね」と話していたが、思えば20代のころはなぜか「干し芋が好き」と言えなかった。あの恥ずかしさは一体なんだったんだろう。その後、干し芋好きな人に出会うことが多くなり、少しずつ「干し芋が好き」と言えるようになった。今では自信を持って「干し芋が好き」と公言できる。

先日、小学校に入った娘が最初の自己紹介で「好きなたべものはカレーライスです」と答えていて、耳を疑った。彼女の本当に好きな食べ物は「白飯、塩鮭、穴子、いくら」などだったからだ。そもそも「カレーライスが好き」と言えるほどカレーライスを食べていただろうか。きっと彼女の中で「カレーライス」はおしゃれなイメージだったり可愛いイメージだったりするのかもしれない。そういえば、2024年の「好きな食べ物を聞かれた時のモテる回答ランキング」というのがあって、1位は「パスタ、スパゲティ」だった。そういえば、しずかちゃんもしばしばミートソーススパゲティのようなものを食べている。

多くの日本人が持っているカタカナ食へのイメージの良さは一体どこからきているのだろうか。