柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

令和5年産 おいしかった米・2024年節分までに食べたお米

令和5年産米を2023年秋から2024年節分(2月3日)までの約4ヶ月間で計126種類(自宅炊飯のみ・コンクールでは計175種類食べたが、炊飯環境が違うためここでは除外)食べてきた中で、特に「めちゃくちゃおいしい」と感じたお米を3つ紹介する。順番は順位ではなく、食べた順番。

◼️青木功樹・博則さん(あおきライスファーム)山形県南陽市

「ミルキークイーン」

香りが良く、しゃもじを入れた瞬間からすでに「ふうわり感」と「しっとり感」が伝わってくる。

口に入れても「ふうわり」「しっとり」。

心地よいおねばが感じられ、たおやかでしなやかな食べ心地。

炊きたては粒感が薄めだが、おいしいお米に共通すると勝手に思っている「歯に吸い付く感覚」がある。

塩味にも似た旨味で、とにかく味が濃い。飲み込むときに喉でも旨味を感じる“旨味系ミルキークイーン”。

炊飯器早炊きだと咀嚼時にざらつきを感じたが、土鍋炊きではざらつきは少ない。

粒感は薄めだが、ミルキークイーンにしては粒感があるほう。

重たくない食べやすいミルキークイーン。

◼️土屋睦彦・直史さん(つちや農園)福島県・猪苗代町

「ミルキークイーン」

つややかで外観が良い。

土鍋炊きではしっかりとした粘りがありながらも、粒立ちが良い。

例年はいわゆる「もち臭」がしたつちや農園のミルキークイーンだが、今回は香りにもち感がない(もち臭は好みが分かれるが、個人的にはもち臭がない低アミロース米のほうが好み)。

しなやかな弾力で、咀嚼時もなめらか。

これも“旨味系ミルキークイーン”。

炊飯器早炊きでは、甘くて香ばしい香りはあるが、粒立ちは土鍋炊きよりは薄め。

土鍋炊きよりもやわらかく、もわもわとした食べ心地。

いずれも冷めてもしっとり感が続く。

低アミロース米はもともとあまり好みではないが、青木さんや土屋さんのミルキークイーンのように“旨味系”だと好みになる。甘くて粘りが強くて粒感がないのは重たいが、旨みがあって粘りが強くて粒感があるお米は重たさが軽減されて食べやすくなる。

やはり品種は一概ではないと改めて感じる。

◼️大久保秀和さん(大久保農園)茨城県・大子町

「にこまる」

土鍋炊きでは、つやがあり、粒揃いが美しい。ごはん粒が少し細長めに見える。

粒立ちが良く、にこまるらしい食感。

ふうわりとして、しなやかな弾力があり、おいしいお米に共通すると思っている歯に吸い付くような感覚。

米肌はしっとりなめらかで、咀嚼してもなめらか。

しっかりとした旨味が感じられ、飲み込む際に喉でも旨味を感じられる。

すっきりとした食べ心地で、余韻もうまい。

炊飯器早炊きでは咀嚼時にほんの少しだけざらつくが、気にならない程度。

いずれも冷めてもしっとり感が続くが、冷めると土鍋のほうが若干やわらかめ。

 

他に、

北海道・士幌町、武山昌彦さんの「ゆめぴりか」、福島県・会津坂下町、堀献一さんの「コシヒカリ」、佐賀県・白石町、白浜学さんの「さがびより」、山形県南陽市、島崎眞吉さんの「雪若丸」、岐阜県高山市、森本久雄さんの「コシヒカリ」

などもおいしかった。

最後に、あくまで「私が食べておいしかったお米」であることを付け加える。

おいしいお米は人それぞれ。