柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

偏食定食

那覇空港の「空港食堂」で「人参しりしり定食」を注文した。

 

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あいかわらず偏食なわたし。ショーウインドーに貼ってあった写真を見ると、人参しりしりの横にランチョンミートが2切れ添えられている。食券を渡すときに店員さんに「ランチョンミートは抜きでお願いします」と言ったら、代わりに人参しりしりが大増量で運ばれてきた。

以前、福岡県の餃子チェーン店に仕事仲間たちと入ったとき、「八宝菜とごはん」を頼んだ。「八宝菜は豚肉抜きでお願いします」と言ったら、豚肉のぶんボリュームが減った寂しげな八宝菜が運ばれてきた。チェーン店だから代わりの具に代えるというカスタマイズはできないんだろうと思う。豚肉を抜いてくれただけでも感謝。1杯だけグラスビールを飲みながらスカスカの八宝菜をつまみ、ビールを飲み終えてごはんに移行。八宝菜をおかずにごはんを食べていたけど、途中でごはんのおかずが足りなくなったので最後はごはんだけで食べた。

仕事をいただいている会社の社員食堂では、寿司を「ネギトロ抜きで」とお願いしたときは、お寿司が1貫減るかなあと思ったら、ネギトロの代わりに別のネタのお寿司を盛り込んでくれた。かけうどんを「ネギ抜きで」と厨房にお願いすると、そのままネギだけ抜く人もいれば、ネギの代わりにワカメを増量してくれる人もいる。

偏食の注文を聞いてくれるだけでもありがたいので、スカスカの八宝菜でも、寿司が一貫減っても、一つも文句は言えない。

でも、ランチョンミートの代わりに人参しりしりを増やそうとか、ネギの代わりにワカメを増やそうとか、そんな優しさが感じられる料理からは作り手の人柄が伝わってきて俄然おいしくなる。

社員食堂のかけうどんは、業者から届けられた冷凍うどんを茹でているだけ。でも、ネギの代わりにワカメを増やしてくれる、あのおじさんのつくったかけうどんは、なんとなく心を込めて食べてしまう。