愛用の会津漆器の黒色ごはん茶碗が欠けてしまったので、金継ぎに出して同じ型の赤色を購入した。
毎晩のようにごはんの食べ比べで茶碗を二つ使うので、もう一つの茶碗を小鹿田焼の黄土色の茶碗に変えたら、まるで秋の紅葉のような色合わせになり、意図せず秋らしさが生まれた。
ずいぶん前に、朝日新聞「炎の作文塾」で知られた川村次郎さんにお会いする機会があった。その時、川村さんの奥さまは季節ごとに椿や桜など茶碗を変えていると伺い、なんて風流なんだろうと憧れた。
ところが、私の好みの茶碗はどれも無地か飛び鉋など季節感がないものばかり。憧れながらも生活に取り入れることができないまま、あっという間に15年ほどの月日が流れていた。
思わぬところで茶碗に季節感を見つけ、またごはんライフが楽しくなりそうだ。とは言え、私が住んでいる地域は12月中下旬になると雪が降り始める。紅葉茶碗の愉しみはあと1ヶ月半しかない。この儚さもまた日本の美。