「台湾にも駅弁がある」と聞いて驚いた。駅弁って日本にしかないと思っていた。学生時代は鈍行列車旅が好きだったこともあり、駅弁文化に魅力を感じる。そもそもお米が好きだからか、ただの食いしん坊だからか、「弁当」と聞くだけでわくわくする。
台湾の弁当文化は日本統治時代の影響で根付いたと言われている。台湾の駅弁はどんなお米でどんなおかずなんだろうか。日本とどう似ていてどう違うんだろうか。
知りたい。
というわけで、食べに行くことにした。恒例の海外お米旅・第4弾。
台北市の「台北車站」に到着してから、さっそく台湾各地の主要駅に店舗を構えている「臺鐵弁當(たいてつべんとう)本舗」へ行ってみた。本当だ。駅弁がある。
麩や大豆製品を駆使して動物性たんぱく質を一切使っていない「素食弁當」。日本の弁当では主流の「ごはんとおかずセパレート弁当」よりも、「ごはんの上におかずのっけ弁当」が主流。
一番人気は、骨付き豚肉を揚げてからタレに漬け込んだものをごはんの上にどかっと乗せた「排骨弁當」らしいが、肉が苦手な私は食べられ
ない。やはり台湾は肉料理ばかりなのかーとがっかりしていると、「素食弁當」を発見した。
「素食」とはベジタリアンのこと。日本ではベジタリアンはマイナーだけど、台湾では宗教上、一定層のベジタリアンがいるらしい。
わたしは肉が苦手なだけでありベジタリアンではないけど、「わわわ!やったー!」と大興奮して2種類の素食弁當を即購入した。海外では日本語の大きな独り言が多くなるのはなぜだろう。
駅近くで製造されたという弁当はほんのり温かい。日本では冷めた駅弁は当たり前だけど、台湾では温かい駅弁が好まれる。ある記事によると、「慣習的に冷めた弁当は食べない」「ごはんが冷たいとひもじいと感じる」らしい。購入後にすぐに食べるか、自宅やオフィスで温め直して食べるそうだ。台湾の弁当の白ごはんがちょっと硬めなのは、冷めた状態で食べる想定ではないからかもしれない。
日本では、弁当向けに「冷めても硬くならないお米」の需要もあるけど、台湾ではそうしたニーズはなさそうだ。ところ変わればお米の嗜好も変わる。日本人の私は日本のお米が一番おいしいと思っているけど、海外の人は「わが国のお米が一番おいしい」と思っているかもしれない。おいしさはそれぞれ。ライス・イズ・ダイバーシティー。
お弁当を買ったはいいけど、どこで食べようか。弁当が入った袋を下げて街中をうろうろしているうちに、すっかり弁当が冷めてしまった。白ごはんが硬くて食べにくい。旅先でおいしいものにありつくには、何を食べるかだけでなく、どう食べるかも大事なのだと冷めた弁当から学んだ。