柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

伸びるお米

秋田県から2022年にデビューする新品種「サキホコレ」を先行販売で購入できたので炊いてみた。

すると、なんだか米粒が長い。つや姫も炊くと長く伸びるので、サキホコレも同じような特性があるのかもしれない。

しかし、米粒をよく見ると、長く伸びているものもあれば、たいして伸びてないものもある。まさかコンタミではなかろう。伸び幅にばらつきがある特性なのかなあ何だろうなあと疑問に思ったので、秋田県農業試験場に問い合わせてみた。

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担当職員によると、「どれくらい伸びるかは試験していない」「数字やデータはない」と言いながらも、「感覚的にはちょっと長いと思うことはある」とのことだった。そして、伸び幅にばらつきがある要因として考えられるのは「吸水の具合」や「粒のサイズのばらつき」だという。ふるい網は1.9ミリで統一しているとのことなので、もしかしたら1.9ミリの米粒はたいして伸びているように見えず、2.1ミリの米粒は伸びているように見えたのかもしれない。吸水については冷蔵庫で10時間ほどじっくり浸漬させたのでムラは考えづらいが、炊きムラによって伸び幅が変わったということは考えられる。

それにしてもなぜ伸びるのか知りたいところだけど、「メカニズムは分かっていない」そうだ。

一般的に海外の長粒米は生米の時点で既に長細く、炊いても長細い。そして、アミロースが高めで粘りが少ない。つや姫とサキホコレは生米の状態では一般的な短粒米だが、炊くと長細くなる。しかし、アミロースは一般的な日本の短粒米並みで粘りがある。

つや姫やサキホコレの他にも伸びる短粒米の品種はあるのか、つや姫やサキホコレが長細くなるメカニズムは何なのか、とても興味深い。