柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

アルデンテの長粒米

先日あるイベントにてベンガル料理のポラオを食べた。バスマティライスが使われていたので、ふうわり軽い食べ心地を想像して口に入れ咀嚼すると、なんとアルデンテ。長粒米をアルデンテに仕上げた料理は初めてだったので驚いた。

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数年前にスペインへお米取材に行った時はパエリアを食べ歩きバッキバキのアルデンテに仕上げた中粒米に魅了された。

そして今回の長粒米のアルデンテも悪くないと思った。

日本の短粒米でアルデンテはあり得ないので、米食文化の違いは本当におもしろい。

ただ、ベンガルのポラオもアルデンテに仕上げるのかどうか気になった。数人に尋ねたところ、どうやらベンガルではアルデンテには仕上げないようだった。

ならばなぜアルデンテに仕上がったのか気になった。

今回食べたのは鯉の頭のポラオ。調理に携わった人によると、バスマティライスを水で洗った後、鯉の頭を揚げた際に使った油にバスマティライスを一晩漬けた。そして翌朝、水を足して炊き上げたとのことだった。

おそらく、洗った時にお米の表面に付着した水分だけではお米の芯まで水が入らず、その後に油に漬けたことで、炊飯時の水がお米の芯に到達することを油が阻害したのではないだろうか。水は熱伝導の役割を果たすため、お米の芯まで水が浸透しないとお米の芯まで火が入らない。そして、調べてみると、油は水よりも熱伝導率が悪いことを知り、腑に落ちた。

もしかしたらお米をしばらく水に浸けてお米の芯まで水を入れた後に油に浸けていたら、お米の芯まで火が入っていたのかもしれない。やってみないと分からないけど。

しかしながら、アルデンテの長粒米はなかなかおいしい。以前にイタリアの長粒赤米(香り米)を硬めに炊いたものと辛口のランブルスコ(コンチェルト・ランブルスコ・レッジアーノ・セッコ)との相性が意外に良かったので、硬めで食べ応えのある香り米はお酒に合うように感じている。バッキバキの長粒米とお酒の相性も追求してみたい。