実家に立ち寄ったら母がカブのぬか漬けを出してくれた。大好物。野菜の中で何が好きか聞かれたら、カブはベスト3にランクインする。
カブって、手を加えるのは常に「ちょっと」。火を通すのもちょっとでいいし、ぬかに漬けるのもちょっとでいい。火を通しすぎるとグチャっと崩れてしまい、ぬかに漬けすぎるとカブの甘みや香りが損なわれてしまう。
そんなふうにカブ本来の底力があるのに、なぜか大根よりも目立たない。大根のほうが、ふろふき大根とか、たくあんとか、切り干し大根とか、なめこおろしとか、千六本の味噌汁とか、定番化している食べ方が多い。「大きなカブ」という絵本で、小さな頃から馴染んでいるのは大根よりもカブなのに。
手を加えすぎないほうがいい野菜よりも、手の加え甲斐がある野菜のほうが食卓にのぼる。日本には多様な料理方法があるということは、日本人は食材の楽しみ方を知っているということでもあり、裏を返せばそうとう飽きっぽいってことなのかなあ。
アルプスの少女ハイジが黒パンとチーズばかり食べていたことを思い出す。