柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

フードロスな人

毎年12月に東京ビッグサイトで開かれる「エコプロ展」にて山梨県甲州市のブースのお手伝いをさせてもらった。そこではお弁当が支給されるけど、私はちょっと偏食傾向なので、「環境がテーマのエコプロ展で食べ残すのは全然エコじゃないなあ」と思って、お弁当を事前にお断りした。もちろん、エコプロ展でなくても食べ残しはよろしくないけど。

で、自分で作ったお弁当を持参。昨晩の牡蠣鍋の残りの牡蠣を佃煮にして、冷蔵庫の野菜室で中途半端に残っていた野菜に火を通したり糠漬けにしたりして、フードサルベージ弁当。 

でも、私みたいな偏食な人は世間の人よりもフードロスしやすいのだと思う。

再来週、群馬県高崎市に行くので高崎名物「だるま弁当」を買おうかなぁと思ったけど、あの具が食べられない。買ったら、あの具を残してしまう。似たタイプで、「峠の釜飯」も好きだけど、あの具が食べられない。買ったら、あの具を残してしまう。

誰かと一緒に食事するとき、その相手が親しければ「これ食べない?」と聞いて、おすそ分け(という名の押しつけ)して、苦手なものを食べてもらえる(ことが多い)。でも、1人で食事すると、空の弁当箱にあの具がぽつーんと残されることになる。

飲食店や配達弁当では注文時に「これ抜いてください」と頼めるけど、駅弁はそんな個人対応できるわけがない(みんなの分をまとめて発注する配達弁当も、注文者や調理者にお手間を掛けてしまうのでお願いしづらい)。

以前に飛行機の機内食で隣の席の見知らぬ人に、「これ、食べません?」と聞いたら、丁重に断られた。私が逆の立場で、たとえその食べ物が好きだとしても、お断りすると思う。なんであんな行動をしたのか自分でもわからないけど、食べられるものが少なくて、食べられるものもおいしいって思えるものが少なくて、結果として食べ残してしまいがちで、もったいないなあと思ったうえでの行動だったように思う(でも、機内食ってなぜか好き。特に外国の航空会社の便では何が出てくるか読めないだけにわくわくする)。

人間だから、嗜好はそれぞれで、好き嫌いがあるのは自然なこと。好き嫌いがなく何でも食べられることは良いことではあるけど、「好き嫌いしてはダメ」って親や先生が子どもに言うのは、子どもの感覚の否定だと思う。

そうした偏食を肯定したうえで、駅弁や機内食のフードロスをどう削減するかは、相当むずかしい。機内食にはベジタリアン対応などのスペシャルミールがあるけど、全部をたいらげることってなかなかない。

ちなみに、「あの具」とは鶏肉。お肉全般、さらに乳製品、さらに衣がふにゃっと湿った揚げ物が苦手な私は、駅で弁当を買わねばならないときは、おむすびや巻き寿司などにお世話になっている。だるま弁当は、おすそ分けできる関係の誰かと一緒に食べるときまでがまん。