「かぼちゃを塩で煮る」というタイトルのエッセイを読んだら、かぼちゃの塩煮を作りたくなった。
かぼちゃの皮面を下にして、ひたひたの水に、塩を適量。グツグツと煮て、最後は粉ふきいものように、水分を飛ばす。冷めてから食べるとおいしい。
この教えをすべて忠実に守り、作って食べてみた。
醤油の風味やみりんの甘みがなく、かぼちゃ本来の甘みが引き出されてシンプルにおいしい。
でも、これって西洋かぼちゃが主流になったからこその食べ方だと思う。
かつて主流だった日本かぼちゃは、西洋かぼちゃのように甘くないし、もっと水っぽい。だからこそ、醤油とみりんで味付けして食べられていたんだろうと思う。
同じ野菜でも品種に合った食べ方がある。品種改良で野菜がどんどん甘くなると、伝統料理の味も変わってくる。そのうち、甘い野菜に合った調理法が主流になると、伝統料理が廃れてしまうかもしれない。
品種とともに、食文化も変わってゆく。そう考えると、かぼちゃの塩煮のおいしさが、ちょっぴり複雑。でも、おいしいものはおいしい。人間だもの。