柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

衝撃のおから煮

海外のお米取材で難しいのが、1度そのお米料理を食べただけで、その国のお米料理はこうだとは言いきれないこと。たまたまその店のお米料理がそうだっただけかもしれない。だから、なるべく同じお米料理を別の店でも食べる。スペインではいったい何種類のパエリアを食べただろう。

 

それは国内でも同じ。京都のある料理屋で食べた料理は味付けが薄いものが多かった。「お揚げと丸大根の煮もの」とか「小芋の白みそ煮」とか「炒り豆腐」とかちょうどいい薄さの料理もあったが、「おから煮」は普段わたしが食べているものとは違う料理だった。醤油とみりんと出汁が前に出てくるのではなく、塩味と出汁の中に生姜が感じられる。薄いというか、そもそも味の方向性が違う。「こ、これがおから煮…?!」と衝撃を受けた。

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おから煮(右)とゆば煮(左)

ちなみに「壬生菜と油揚げの煮物」は薄味のおかげで壬生菜の苦みを楽しめたので、「きっと素材を活かしているのだろうなあ」と頭では理解しつつ、どうもお酒が進まない。塩をもうひとつまみ入れたい。全体的な味の薄さからどうにも満足できず、料理屋を出た後に蕎麦屋で「けいらんそば(卵とじそば)」と白ごはんを食べた。甘じょっぱいつゆがしみる。ようやくお腹も心も満足。「京都の料理屋って味つけが薄いんだなー」という感想を持った。

 

翌日、帰りの新幹線の中で弁当とお酒を楽しもうと、「紫野和久傳」の「鯛ちらし」を購入。食べてみると、薄すぎないし濃くもない。弁当だから少し味付けを濃くしているのかもしれないけど、一般的な弁当よりは薄い。絶妙な味付けに感動を覚えた。京都の料理屋は味付けが薄いって決めつけてしまうところだった。和久傳のおから煮はどんな味だろう。

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お酒も進むよ鯛ちらし

そうは言っても、東と西の文化は異なる点がずいぶん多そう。ちょこっと行っただけで「こうだ」とは言えない。1回行ったら1回分の理解、5回行ったら5回分の理解、10回行ったら10回分の理解に過ぎない。ひとまず次回京都に行ったらいろいろな料理屋のおから煮を食べてみたい。