柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

エビ丼と玉子丼

近所の定食屋の品書きには、「エビ天丼」の横に「エビ丼」と書かれている。

エビ天丼はエビの天ぷらが乗っている丼だとすぐに分かるけど、エビ丼って何だろう。

 

注文してみると、その正体は、エビフライを玉子とじにした丼。厚めの衣がサクサク、中のエビがアツアツ、玉子とじの甘じょっぱい味付けと、卵のとろとろ。その下には、大盛りの白ごはん。夢のようなメニューだった。

 

以来、その定食屋に行くといつもエビ丼を注文…したいところだけど、注文しない。いつも食べるのは、エビフライがない玉子丼。夢のメニューはいつも食べたくない。

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夢のメニュー「エビ丼」

夢のメニュー、つまり自分にとって特別感がある食事はたまに食べるから感激するのであり、毎日食べてしまったら感激がなくくなってしまう。鮨はたまに食べるからおいしいし、うな重もたまに食べるからおいしい。

 

だからと言って、玉子丼をエビ丼よりも下に見ているわけではなく、むしろ玉子丼は私にとっては頻繁に食べても飽きないすごいメニューだと思っている。そういう意味では、ごはんとみそ汁は毎日食べても飽きないすごいすごいメニューだと思う。

 

先日の結婚記念日のランチはその定食屋のエビ丼が食べたいと夫にリクエストした。定食屋の息子さんは「せっかくの結婚記念日にうちに来るなよ!」と夫に冗談まじりに言っていたそうだけど、エビ丼は「ハレ」、玉子丼は「ケ」と使い分けていると、いつもの定食屋でも、たちまち特別感のある食事を楽しむことができる。

 

ケの食卓はハレの食卓を際立たせてくれる要素があると思う。ハレの食卓を楽しむためにも、ケの食卓を大切にしたい。