柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

かわゆいふりかけ

子どものころ、ドラえもん型の容器欲しさに、ドラえもんふりかけを買ってもらった。

 

ほかのふりかけに比べて「特別おいしい!」というわけではない。でも、ドラえもんを振ると、ドラえもんの口からふりかけが出てくるのが楽しく、ふりかけごはんを食べることが好きになった。

 

そもそも、当時はおかずがあまり好きではなかったので、ごはんにはふりかけがあれば良かった。

 

なによりも、ごはんを食べているとき、食卓にドラえもんが立っているのが嬉しかった。子どもがぬいぐるみを持ち歩く感覚に近いのかもしれない。「ごはんのおとも」というよりも、「ごはんの相棒」というかんじだった。

 

成長するにつれ、おかずも好きになり、食卓でふりかけを使うことはほとんどなくなり、母が作ってくれるお弁当やおむすびに使うくらいになった。

 

大人になってから、ときどき「ふりかけごはんを食べたいなあ」と思うこともあるけど、添加物というものを知ってからは、店の棚からふりかけを手に取り、パッケージ裏の原材料を見ては、棚に戻してしまう。

 

無添加の商品でも、なんで原材料に砂糖が使われているのかわからない。「でっかいおむすび」でも書いたように、甘い梅干しよりも、塩と梅だけのシンプルな梅干しが好き。同じくふりかけも塩気だけでじゅうぶん。

 

ないならば作ろうということで、以前に自分でふりかけを作ってみたけど、なんか違う。なんでかわからなかったけど、最近になって、ふりかけには「かわいさ」が不可欠なのだと気づいた。

 

私の中では「ふりかけ=子どものころの思い出」。ふりかけとは、かわいいもの。かわいくなければ、ふりかけじゃない。

 

食べる前からうきうきするような、かわゆいパッケージや容器で、原材料も良いふりかけ。そんなのないよなあ。

 

と思っていたら、あった。

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原材料は鰹節、海苔、塩だけ

京都「うね乃」の「梅しそ」と「おかかのり」。
まず、パッケージがかわゆい。原材料もとてもシンプル。

 

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原材料は、鰹節、フリーズドライの赤紫蘇・梅、海苔、塩だけ

このふりかけに出会ってからは、1杯目は白ごはんだけで食べ始め、1杯目の途中からおかずでごはんを食べ、おかわりして2杯目の最後にふりかけごはんというトリプルな楽しみができた。たまにふりかけをかけすぎて、ごはんを追加する。ふりかけがあると、おかずでお腹いっぱいにならないので、ごはんがいっぱい食べられる。ふりかけ、すごい。

 

食いしんぼう妊婦のわたしは、出産時の入院食がおいしいかどうか、ずっと気がかりだった。でも、このふりかけがあれば、たとえ入院食がイマイチでも、白ごはんをもりもり食べられるに違いない。ふりかけのおかげで出産時の心配事が一つ消えた。