柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

「ごはんのおとも」と「ごはんのおかず」

東京・高円寺にある暮らしの道具店「cotogoto」でお米ライターカシワギおすすめのごはんのおともを「新米とうつわ展」(2021年10月15日〜2021年10月31日)の期間限定で販売してもらえることになった。

12種類をご提案したうち、販売可能となったのは7種類。12種類に共通するのは①素材と味わいが素朴②お腹にたまらない③調味料がシンプル④少量でごはんがすすむ、という点だ。

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①の素朴とは、ごはんの脇役というポジションを崩さないこと。たとえば、オイル漬けやキムチや動物性脂肪たっぷりのものはごはんと一緒に食べた時にごはんの味わいを邪魔してしまう。それだけでなく、舌に残り続ける悪い意味での余韻もその後のごはんの味わいを邪魔してしまう。そういう意味では、生ネギやニンニクがたっぷりのものもごはんのおともには適さない。

②については、ごはんのおともはごはんのおかずではないということ。おかずのようにお腹がいっぱいになってしまうものはごはんのおともには適さない。

③のシンプルとは、添加物がないこと。ごはんのおともはなぜか往々にして添加物入りのものが多い。その時点でごはんのおとも選びの圏外になってしまう。「保存料・合成着色料無添加」と書かれていても、保存料と合成着色料以外のものが添加されていることもあるので原材料チェックは必須。

④は②にも通じるが、しっかりと塩気があってほんのちょっと食べるとごはんが3口以上進むものこそがごはんのおともだと思う。

最近作ったいくらの醤油漬けは、しっかりと塩気があるので②と④はクリアでき、舌には残らないので①もクリアでき、自家製なので③もクリア。

一方で、実家近くの鮮魚店のおいしい鯵の干物は、①と③はクリアしているが、塩気が程よくパクパク食べられるので②と④は当てはまらない。とはいえ、添えた大根おろしに醤油を染み込ませ、鯵の干物の身と一緒に食べると、ごはんにものすごく合う。これをごはんのおともと言わずになんと言えよう…と思わず自分で作ったごはんのおともの定義を無視してしまいそうになる。

鯵の干物はごはんのおかずと言ってしまうと、ごはんのおともよりも〝ごはんに合う度〟が下がった印象になってしまう。「ごはんのおかずの中でもごはんのおとも並みにごはんが進むおかず」のポジションをなんと呼ぶべきか、とても悩ましい。