柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

「お米の洗い方・研ぎ方」考

「 近年は精米技術が発達したのでお米を研ぐ必要はなく洗うだけでO K」と言われているが、本当にそうなのかなあと考えている。

私も以前はさっとすすぐ程度だった。しかし、 うっすらと古米臭があるお米を研いでみると臭いがとれておいしく 食べられたことがあった。

そこで、 精米の際に米の表面に再付着した粘着質のぬかは、 やはり研がないととれづらいのではないかと考え始めた(うまみ層の劣化だと言う人もいるけど、顕微鏡を持っていないのでどちらの要因であるかはハッキリとわからない。いずれにしても研がないととれづらい)。

ただし、ここで言う「研ぐ」 というワードは人によって受け止め方がそれぞれであることに最近 気がついた。私がイメージする「研ぐ」は「 なでるように洗う」ことだったが、多くの場合は「 強い力でギュッギュとお米をこする」 というふうに受け取られているらしい。知らなかった。

お米は繊細で割れやすいので、強い力で研ぐのは禁物。とは言え、 「洗うだけ」と言われると、 さっとすすぐだけのイメージにむすびつく。

言葉選びに悩んだ末、「なで洗い」 と表現することにした。言葉を勝手につくった。

「研ぐ」 まではいかないけど、「すすぐ(洗う)」よりはきっちりと。「 なで洗い」の際の水の量は洗い方によっても変わってくる。

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あくまで私の場合だけど、拝み洗い(両てのひらでお米を挟んでなで洗い)の時は、ひたひたよりも少し多めの水。シャカシャカ洗い(指を丸めてボウルの中でやさしく回すことでボウルの側面と手で挟んでなで洗い)の時は、ひたひたよりも少し少なめの水。完全に水を切ってしまうほうが研ぎやすいけど、お米への負担が大きいような気がしているので、水は常にあったほうがいいと感じる。あくまでソフトタッチ。

そして、古米臭がないお米も含め、いくつかのお米を「なで洗い」したり「 すすぐ」だけにとどめたりして試したところ、「なで洗い」 したほうが舌触りやふっくら感が良くなるお米が多く、 旨みの大きな減少も感じなかった。 果たしてぬかがとれているのかとれていないのか、 お米の表面のうまみ層までとれているのかとれていないのかは、 顕微鏡を持っていないのでわからないが、体感的に「なで洗い」 をしたほうが好みの食味になったので、やはり「なで洗い」 がベターだという結論に落ち着いている(2021年10月現在)。