柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

カレーに合うお米たち

数年前、カレーに適したお米を探して「華麗米」「ホシユタカ」「プリンセスサリー」「サリークイーン」を集めて食べ比べた。どれも日本で作られたお米だ。

 

華麗米は表面の粘りが少なくもちっとしていて、日本のカレーに合う。他の3種は長細くて粘りが少ないので、さらりとした東南アジアのカレー、ピラフ、炒飯などに合う。

 

カレー好きが高じて2013年から「プリンセスサリー」を農薬と化学肥料を使わずに栽培しているのは、群馬県藤岡市の農家・山口俊樹さん。妻・あきらさんと共に「上州百姓 米達磨」の屋号で米を作っている。

 

山口さんがこの品種を選んだ決め手は、「香り高さと炊きあがりのぱらぱら感」。炊飯器の蓋を開けると茹でた枝豆のような香ばしさが広がる。細長いながらもしっかりとした弾力。ぱらりとしているが、滑らかな舌触り。「倒伏しにくく比較的作りやすいけど、収穫時期の判断が難しい」と山口さん。生産しづらい農作物ほど燃えるタイプで、少しずつ勘所が分かってきたという。

 

食の多様化が進み、エスニック料理店が増え、家庭でもインドカレーを作る人は増えた。

 

異文化料理を楽しみながらも、日本の田んぼを守るためには輸入したバスマティライスやジャスミンライスではなく、国産長粒種があったらうれしい。

 

普段の米にほんの少し香り米として混ぜてもいいし、ぱらりと軽やかなので暑い夏でも食が進みそう。

 

さまざまなブランド米が溢れている中、具体的な食べ方の提案までできる米は強い。

日本農業新聞コラム「柏木智帆のライフワークはライスワーク」)