今年(2018年)2月に発表された日本穀物検定協会の「米の食味ランキング」で、ブランド米の先駆けである新潟県・魚沼産コシヒカリの評価が「特A」から「A」に落ちた。
このニュースに「魚沼コシヒカリって味が落ちたのね」という感想を抱いた消費者は多かったと思う。
でも、お米は同じ品種と産地でも、生産者によって違うし、田んぼによって違うし、ロットによって違う。さらに言えば、同じロットでも、それぞれ米粒の厚みが違えば、糠の削り具合も変わり、浸水速度も変わる。
「特A」だからと言ってその地域のその品種がどれも抜群においしいわけでもなければ、「A」や「A`」だからと言っておいしくないわけでもない。
でも、それを知っている消費者は少ない。
メディアが毎年ランキング結果をいかにもその産地すべての評価のように発信することもあり、消費者はいたずらに惑わされてしまう。
このままでは、たとえ産地でお米のブランド化を目指しても、「ブーム」だけになり、「定番」になることは難しいように思う。
ただ、今回のランキング結果は“魚沼コシヒカリ信仰”から脱却してさまざまな米に目を向けてもらえるきっかけになったのでは。これを機に、「ブランド」で選んでもらうよりも、料理やライフスタイルなど「食べ方」の提案で選んでもらう方向を目指したらどうか。
それぞれのお米の多様性を活かすことで日本全体の米消費がアップしたらすばらしい。お米にも「ダイバーシティーマネジメント」の時代が訪れている。
(日本農業新聞コラム「柏木智帆のライフワークはライスワーク」)