柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

日本農業新聞コラム「柏木智帆のライフワークはライスワーク」

大きな視点を持ちながら目の前の食卓を見る  

パンやパスタなど輸入小麦による主食の多様化によって日本の米食文化が揺らぐ中、私たちがこれからの日本の米食文化、これからの米農業を考える上で、大切にしたいことは何だろうか。 それを示唆してくれていると思うのが、首都圏を中心に国内43店舗、海外…

レッテル貼りはもったいない

「南魚沼産コシヒカリ」と聞くだけで「いい米」「高い米」というイメージを抱く人は多い。一方で、「安い米」というイメージがついている品種もある。 静岡県藤枝市の米農家・松下明弘さんの「あさひの夢」は、1キロ720円で地元の米屋に並んでいる。それを見…

お米を売りながら地域の魅力を売る

「地方創生」の掛け声のもと、各地には地域おこしを絡めた商品開発事例がたくさんある。その中でも注目しているのは、六次化商品の中でもユニークなお米「能登輪島米物語」。石川県輪島市の9軒の米農家たちによる商品開発プロジェクトから生まれた。 能登輪…

ライス・イズ・ダイバーシティー

巨大胚芽の玄米食専用米「カミアカリ」を育種した静岡県藤枝市の米農家・松下明弘さんに会いに行ってきた。 松下さんの米は、香りも味も複雑だ。「にこまる」は、旨み?苦み?いや、旨み?というような旨み。そして、納豆をものすごく薄めたような良い香り。…

お米の魅力は文化とセットで

駅弁は日本独自の文化だと思っていたら、なんと台湾にも駅弁があるそうだ。どんな弁当か気になり、昨年秋に台北へ食べに行ってきた。 日本の駅弁と違うのは、弁当を温かいうちに食べること。台湾人は、ごはんが冷たいとひもじく感じるそうだ。冷めた弁当やお…

田んぼで完成するブレンド米

一般的にブレンド米は、収穫してから2品種以上のお米を混ぜたもの。一方で、田植えの時から多品種を混ぜて育てているお米もある。 東京・吉祥寺の「金井米穀店」では、ユニークな“ブレンド米”の栽培を栃木県・塩谷町の「杉山ファーム」にお願いしている。な…

お米にも入浴の効能? 種もみの“温泉消毒”

福島県・猪苗代町の「中ノ沢温泉」では、お米の種まき前に種もみを温泉に“入浴”させています。これを発案・生産し、「中ノ沢温泉米」として販売しているのは地元の米農家・土屋直史(つちや・なおし)さん。季節は、まだ雪が溶けきっていない花冷えの頃。湯…

お米もダイバーシティーの時代

今年(2018年)2月に発表された日本穀物検定協会の「米の食味ランキング」で、ブランド米の先駆けである新潟県・魚沼産コシヒカリの評価が「特A」から「A」に落ちた。 このニュースに「魚沼コシヒカリって味が落ちたのね」という感想を抱いた消費者は多かっ…

カレーに合うお米たち

数年前、カレーに適したお米を探して「華麗米」「ホシユタカ」「プリンセスサリー」「サリークイーン」を集めて食べ比べた。どれも日本で作られたお米だ。 華麗米は表面の粘りが少なくもちっとしていて、日本のカレーに合う。他の3種は長細くて粘りが少ない…

ブレンド米を“遊ぶ”

「ブレンド米」というと、多くの人が高値のお米に安いお米を混ぜた“偽装米”を連想しがち。一方で、同じブレンドでもブレンドコーヒーや合わせ味噌は定番商品。ワインだって異なるぶどうの品種を掛け合わせたものがあり、ウイスキーだって異なる原料を掛け合…

お米はいつまでおいしい?

管理を徹底すれば、お米は(米の品質によっては)新米のときよりもおいしくなる。では、おいしく食べられるのは収穫からどのくらいまでの期間だろうか。 昨年夏、お米の経年変化も調べている研究熱心な農家から3年分のお米を取り寄せて検証した。自然栽培「…

「新米はおいしい」は本当?

日本人は新米好き。新米の時期になると、スーパーや米屋に「新米」ののぼり旗が現れ、テレビや雑誌などでは「新米特集」が組まれる。普段よりもちょっと高い米を買い、一口目はお米だけを楽しむ…という人は多い。新米にキムチをどかっと乗せて食べた知人は周…

粘るコシヒカリでもパラパラ炒飯はできる

ベトナムで食べた長粒種の炒飯はパラパラでおいしかった。日本のお米だとここまでパラパラ炒飯は作れないだろうなあと思っていたら、あった。コシヒカリのパラパラ炒飯。東京・広尾にある中華料理店「春秋」。卵とネギだけのシンプルな炒飯は、お米がパラパ…

ひょろりと長い「つや姫」の魅力

ある米屋の店主から「寿司用ブレンド米に『つや姫』を混ぜにくい」と聞いた。理由を聞くと、1993年の大冷害時に出回ったジャポニカ米とインディカ米のブレンドに対する悪いイメージがあると言う。 つや姫は炊くとひょろりと長くなる。不思議なお米だなあ…

おいしく「酒米を食べる」

酒米は酒造に適しているだけではない。なんと、スペイン料理のパエリアでもその特性を発揮している。 酒米はでんぷん粒が粗く隙間が多い心白があるため、麹菌が繁殖しやすく良質の麹ができやすい。その特徴がパエリアに合うのではと考えたのが、東京・清澄白…

業務用米もおもしろい

おいしいけど業務用米として使われることが多い品種。その代表として山形県産「はえぬき」がある。最近、この米のポテンシャルを活かした飲食店に出会う機会が増えた。 東京・銀座の「アロセリアラパンサ」はスペインの米料理専門店。パエリアなどに山形県産…

亀治もびっくり「亀の尾」リゾット

新品種が続々と出てくる。もはや覚えられないほどだ。一方で、いわゆる“昔品種”にも注目が集まり始めている。 最近ではお酒に使われていることが多い「亀の尾」は1893年に誕生した品種で、コシヒカリやササニシキなど良食味と言われるお米のルーツ。多肥…

お米の好み 多様化の兆し?

11月、山形県の庄内町で開かれた「第11回あなたが選ぶ日本一おいしい米コンテスト」に決勝一般審査員として参加した。 1日に46種類ものお米を食べられる…なんという幸せ。白いごはんだけ食べ続けると、しょっぱいものが欲しくなるけど、味覚が変わっ…