柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

お米を追うほどに

娘の授乳が終わり日本酒が飲めるようになったので晩酌という毎日の楽しみができた。

これまで飲めない期間につい買ってしまい冷蔵庫に眠らせていた日本酒を少しずつ飲んでいる。

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以前から食べたお米を記録していたInstagramに日本酒もたまに記録するようになったが、お米に比べて日本酒はポジティブな感想が書きやすい。お米のInstagram記録は基本的に品種や生産者や生産地の情報しか書いてないのに。本当は食べるお米のほうも感想を書いていきたいけど、それができないのはポジティブな感想だけではないから。不思議なにおいがするとか、ざらつくとか、保温劣化しやすいとか、そんな感想をInstagramでは書けないので自分のお米メモの中だけにとどめている。

この点は、加工品(日本酒)と農産物(お米)の違いであり、嗜好品(日本酒)と日常食(お米)の違いでもあるのかも。お米の出来は天候に左右されるため、たとえ腕の良い生産者のお米、良い土地のお米であっても、年によって味わいは変わる。日本酒もお米を使っているし、お米の味わいが出るし、菌という生きもの相手ではあるけど、お米を水だけで炊飯するよりは影響がダイレクトに分かりづらい。そして、嗜好品だからこそ、ネガティブかもしれない味わいがポジティブに受け取られたりもする。

そして、日本酒の感想を書きやすいと言っても日本酒のことがわかっているわけではないので洞察のカケラもないわけだけど、食べるお米の感想を書きづらくなっているワケは、ネガティブな感想が多くなってしまっているからではないか、とも思う。

5、6年前くらいはもっとおいしいと思えるお米が多かったように思う。どのお米を食べてもうまい!という感じだった。それがいつしか変に舌が肥えてきたのか、めちゃくちゃおいしいと思えるお米に出会えるのが稀になってきた。

好きなお米を追えば追うほど、おいしいお米に出会える幸せから遠ざかっていくというこの切なさ。

また最高にうまいと思えるお米に出会いたい。