柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

玉子丼で白飯を食べる

玉子丼が好きだけど、以前は白飯の上に玉子とじをのせるのが好きではなかった。

 

白飯と玉子とじは別々に食べるのが好きで、蕎麦屋で玉子丼をセパレートしてもらったこともある。今思い返すと迷惑な客だ。

 

でも、今は白飯に玉子とじがのった玉子丼のほうが見た目やどんぶりのずっしり感に幸福感を覚える。そして、ただひたすら一つのどんぶりに集中できるという突っ走り感にも魅力を感じて玉子丼が好きになった。

 

ところが、注文して出てきた玉子丼が「つゆだく」だとたちまち気分が萎える。白飯は白飯として食べられる部分を残してほしい。甘じょっぱい玉子丼を白飯でリセットしたいし、たまに箸休めに白飯を食べたいし、最後のひとくちは白飯で終わりにしたい。玉子とじという料理の性格上、汁気があるのは重々承知しているが、どんぶりの底の白飯までつゆに浸っていると悲しい。

 

玉子とじに対する白飯の割合を増やして大盛りにしてみようかと思ったけど、店員さんが気を利かせたつもりで具やつゆも増量してしまいそうなのでやめた。良い方法はないかと考えてたどり着いたのは、玉子丼をおかずに単品白飯を食べること。先日、実際にやってみたら、甘じょっぱい玉子丼を白飯でリセットできたし、たまに箸休めに白飯を食べられたし、最後のひとくちは白飯で終わりにできた。

 

ちなみに、その時に食べた玉子丼は「サザエ丼」の名称で、サザエを玉子とじにしていた。神奈川県の江ノ島では「江ノ島丼」と呼ばれているらしい。そして、エビフライを玉子とじにしたものは神奈川県鎌倉市では「鎌倉丼」。

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玉子丼はタマネギを玉子とじにしたものが圧倒的に多いけど、近所の食堂では長ネギを玉子とじにしている。京都で食べた油揚げと青ネギを玉子とじにした「衣笠丼」もおいしい。他にも、油麩とじ丼、湯葉とじ丼、親子丼、カツ丼、ハイカラ丼、木の葉丼など、玉子とじの丼物はめちゃくちゃ多い。


なんでも玉子でとじておいしくしてしまう「玉子とじ」という料理はすごい。しかもそれを白飯にのせちゃうとはおいしいに決まっている。玉子とじ丼レシピを集めた本があったら是非とも欲しい。タイトルは「なんでも玉子とじ」とかどうだろう。