柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

香りマツタケ、味シメジ?

9月、夫と松茸名人と一緒に山へ松茸採りに出かけた。歩いていると「松茸のにおいがする!」と夫。私にはまったくわからなかったが、採った松茸を腰かごに入れていると、まるで松茸の香水をつけたかのように、私から松茸の香りが放たれ続けていた。

帰宅して松茸ごはんを作ると、炊飯中から家の中が松茸の香りに満たされた。土鍋のふたを開けて顔面に松茸ミストを浴び、ひとくち食べると口の中が松茸の香りに溢れた。食べてからハーッと息を吐いたら松茸を食べたことがわかるのではないかというくらいに。

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「香りマツタケ、味シメジ」と言われているが、それは違うと確信した。たしかにしめじもおいしいが、松茸の旨みの濃いこと。

これはきっと松茸を入手できない人が自分を納得させるために作った言葉に違いない…と思うのは、私がその松茸を入手できない人だったから。今では松茸が手に入る環境に住んでいるが、東京に住んでいた頃はシメジやエノキのように気軽に松茸を買うことなんてできなかった。松茸なんて香りだけでしょ、シメジのがおいしいもんね、と言いたかったのだ。

ところが、シメジは100g 98円で売っているおなじみのシメジではなく、本シメジのことなのだとか。天然の本シメジを食べたことがないが、もしかしたら本当に「香りマツタケ、味シメジ」なのかもしれない。来年は本シメジごはんを食べて真相を確かめたい。