新潟県のある米農家は、農業を始めたころ田んぼに向かっていると、駄菓子屋のおばさんから「よく田んぼを見て回るね。稲は人の足音を聞いて育つって昔から言うたもんだ」と声をかけてもらったそうだ。
この話をあるワインソムリエにお伝えすると、オレゴン州の有機栽培ぶどう・オーガニックワインの生産者が「Farmers footsteps are the Best fertilizers(農家の足音は最高の肥料)」と言っていた、と教えてくれた。
科学的でもあり、非科学的でもあり、心ある深い言葉に胸を打たれた。
ちなみに、民俗研究家の結城富美雄さんからはこんな話を聞いた。
田んぼの水見をしている親を見て「会社に行かずぶらぶらして遊んでいる」と誤解していた子どもに、結城さんは水見がいかに大切か、稲作とはどういう仕事かを説いたところ、その子どもは稲作を生業にしている親に誇りを持つようになったそうだ。
スマート農業にはニーズやメリットがあることはわかっているし、高性能な農業関連製品は素晴らしいとは思う。
でも、やはり足音のする田んぼや畑っていいなあと思ってしまうのはロマンチストなのだろうか。
(でもスマート農業にはカバーできない、人間の目利きが必要な部分もあるはず…)