柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

飽きない「追いポン」

東京都目黒区にある「高崎のおかん」では料理と燗酒のペアリングコースが楽しめる。

2回目の訪問時、コースの終盤に豆乳茶碗蒸しが出てきた。これを食べてから、泡立てた豆乳をのせてもらった鈴木酒造の本みりん「黄金蜜酒」のお燗を飲むと…口内で調和されてまるで豆乳プリンのような味わいになる。

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初めて訪問した時にも食べて〝口内豆乳プリン〟を楽しんだのだが、帰りの電車の中で「茶碗蒸しとお燗を別々に楽しむのではなく、茶碗蒸しにお燗をぶっかけたらどうなるんだろう…」という考えが頭に浮かび、試してみたくてたまらなくなった。

9ヶ月ぶりの訪問でさっそく試してみると、豆乳プリンだ。おいしい。でも、ぶっかけてしまうとせっかくのペアリングの妙を体感できない。

自分で味わいに変化をつけることで、自分に合うおいしさに出会える。「ふりかけは混ぜたくない」でも書いたが、ふりかけをごはんに混ぜると味わいが単調になってしまう。しかし、ごはんの上にかけると、ふりかけがかかっている部分と、かかっていない部分を交互に食べたりして、味わいに変化をつけることができる。

この数日後にも再びそんなことを感じるこんな出来事があった。

娘からインフルエンザをうつされてほぼ毎食玉子おじやを作って食べていた時のこと。出汁で刻み葱を煮る→炊飯器で炊いたごはんを投入→手作りポン酢で味付け→再び煮立ったら溶き卵を投入してざっと混ぜる、という簡単料理で、体調が悪いときでもおいしく消化に良く重宝していた。

ほぼ毎食同じ料理を食べながら、マイナーチェンジしながらたどり着いたのは、「手作りポン酢で味付け」の過程であえて薄めに味をつけること。そして、食べる時には「追いポン」すること。

すると、味わいが単調にならず、ポン酢の味の濃淡の変化をつけることができるため、毎食同じ料理を食べていても飽きなかった。

「ふりかけごはん、豆乳プリンと本みりん、おじやの追いポン、に共通するものはなーんだ」というクイズに答えられるのは、きっと私しかいない。