柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

夕暮れと夜の境目に目を凝らす鳴き始めるのはどの蛙から?

夕暮れと夜の境目に目を凝らす鳴き始めるのはどの蛙から?

田舎の祖母の家は、庭を挟んですぐ田んぼがあった。

小学生の頃、夏休みになると遊びに行った。

朝も夜も気づくと網戸にカエルが貼り付いている。

犬や猫は苦手だったが、カエルは大好きになった。もしかしたらお米好きの原点は祖母の家での思い出にあるのかもしれない。

今でも、網戸にカエルが貼り付いてくる居間で食べた朝ごはんが忘れられない。

つやつやピカピカのご飯。ナスのジャガイモの味噌汁。

ご飯をよそってくれた子ども用の平茶碗は白い磁器で何かのキャラクターがプリントされていた。今でもあの茶碗のフォルムは私の理想だ。子どもの頃は旅館の朝ごはんの茶碗もあの形だったと思うのだが、最近は出会わなくなった。

私は小鉢のように上部がつぼまった形の茶碗が好きではない。茶碗の上部は横に広がっていてほしい。そして、大きすぎる茶碗も好みではない。ちょっと小さめの茶碗でおかわりしたい。

ナスとジャガイモの味噌汁の味噌は赤出汁のように色が濃かった。シャキッとした塩気が夏の朝に心地よかった。

子どものころは食べることがあまり好きではなく、おかずが苦手だったので、祖母の家では焼き海苔や味海苔で白飯を食べていた。そして今、娘も焼き海苔が大好きで毎日すごい量の海苔を消費している。

祖母の家では夜になるとカエルが大合唱を始めた。

そして今、住まいの目の前には田んぼがある。

カエルの大合唱が聞こえる家に住んでいることを幸せに思う。