柏木智帆のお米ときどきなんちゃら

元新聞記者のお米ライターが綴る、お米(ときどきお酒やごはん周り)のあれこれ

おやつもお米を食べよう運動・その6

小学生の頃、夏になるとカルピスが家にあった。

というか、どの家にもあった。

友だちの家に遊びに行くと、おばちゃんがカルピスを作ってくれる。

当時は「カルピスウォーター」のようにすぐ飲める状態ではなく、カルピスの原液に水を混ぜて作るスタイルだった。

Yちゃんの家はいつも薄いとか、Mちゃんの家はかき氷にシロップ代わりにかけてくれるとか、カルピスの原液が冷えてないと氷を入れてもぬるいとか、氷で冷やそうとしてストローを回しながらゆっくり飲んでいると今度は氷が溶けてきて薄くなってしまうとか、ぶどう味が登場したけどノーマルカルピスのほうが好きとか、カルピスひとつでいろいろなことが思い起こされる。

カルピス原液の茶色い瓶。原液の甘い香り。グラスに氷が当たる音。友だちのおばちゃんが家の中でタンクトップを着るような暑さの中、けたたましく鳴く蝉の声を聞きながら飲む冷たいカルピスに小さな幸福感を覚えたものだった。

あれは平成の最初だった。

時は流れて令和のいま、私には3歳の子どもがいる。

私はジュースを飲んで育ったくちだが、娘にはまだジュースを飲ませたことがない。

その代わりに娘が愛飲しているのは、米と米麹が原料の「甘酒」。

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甘酒は商品によって味わいはさまざまで、中には甘すぎるものもあるので、自宅で出すときは基本的に水でかなり薄めている。娘のためにグラスに甘酒を入れてから水を足していると、いつも子どもの頃のカルピスを思い出す。

甘酒には豊富な栄養が含まれ、米と米麹でつくる甘酒は砂糖や異性化糖や添加物などを含まない。甘酒もかつてのカルピスのように夏の定番となって子どもたちに愛飲してもらいたい。